細胞外に放出されるヒト哺乳類細胞を用いた作成した抗原は、糖鎖構造が異なっている事が判明しているが、この糖鎖構造の違いがCTLの誘導に及ぼす影響を調べる為、OVA蛋白質の発現系を作成すると共に、内包するMHCクラスIエピトープに対するCTLの誘導をマウスを用いてin vivoで評価できる系を作製した。 また、CTLを誘導できるリポゾーム由来のアジュバントをカチオン性脂質をベースとして、作成を試みた。 最初にニワトリ由来のOVAをモデル蛋白質とし、CTL誘導能を指標としてアジュバントの最適化を試みた所、エピトープペプチドでなく、蛋白質抗原と混合し、マウスに一回接種するだけで、6日後にエピトープをラベルしたレポーター細胞をin vivoで80%以上排除できる事が確認できた為、更にそのアジュバントの最適化を行った。 このアジュバントを用いて、先程、大腸菌もしくは哺乳類細胞で作成したOVA蛋白質を用いて免疫した際のCTL誘導能を比較した所、大腸菌、哺乳類細胞、ニワトリでの作成したOVA蛋白質の順にCTL誘導能が高くなっていく事が判明した。 哺乳類細胞でもCTL誘導が認められたため、糖鎖合成阻害剤を用いて、抗原蛋白質の糖鎖構造を改変したOVAモデル蛋白質の作成し、そのCTL誘導能を評価した。 その結果、糖鎖構造を改変する事によって、CTLの誘導活性が強化出来る事を確認した。また、この抗原蛋白質を用いたCTLの誘導は通常のアジュバントでは誘導できず、今回、開発したアジュバントで誘導できる事を確認した。 最後にB16メラノーマ細胞を糖鎖合成阻害剤で処理し、その細胞の抽出液とアジュバントを用いてマウスに免疫し、担癌細胞の抑制の評価を行った。
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