研究課題/領域番号 |
23510047
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
速水 祐一 佐賀大学, 低平地沿岸海域研究センター, 准教授 (00335887)
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研究分担者 |
五十嵐 勉 佐賀大学, 農学部, 准教授 (30202857)
樫澤 秀木 佐賀大学, 経済学部, 教授 (60214293)
佐藤 慎一 東北大学, 学内共同利用施設等, 助教 (70332525)
李 オンチョル 佐賀大学, 農学部, 講師 (10568364)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際研究者交流 / 韓国 / 干潟 / 干拓 / 開門 / 環境影響評価 / 比較研究 / 公開シンポジウム |
研究概要 |
本研究は,有明海の環境問題に関して諫早湾開門調査に焦点があたっている今,類似した環境で既に大規模複式干拓と調整池の開門が実施された韓国の例と比較することを目的とする.そのために自然科学と人文・社会科学の研究者が連携して学際的共同研究を行う. 上記の目的のもと,韓国から研究者を招聘し,市民公開シンポジウムをおこなうと共に,研究者だけで議論するワークショップを企画した. シンポジウムは「緊急シンポジウム-諫早開門問題,韓国の例に学ぶ-」と題して,2011年8月2日に福岡市で開催した.前半は,研究代表者の速水が背景と趣旨説明を行った後,「韓国の干潟の干拓と保全活動,そして未来」についてソウル市立大学の金敬源博士が,「始華湖におけるモニタリングと環境変化」についてEcoean社の朴永哲博士が,「韓国の漁業法と環境影響評価」について江原大学校の朴泰炫教授が,「締切・開門による生態系変化をどうモニタリングすべきか?」について分担者の佐藤が発表した.続いて,研究分担者の李を加えて,韓国と日本の事例の共通性と違い,韓国の先行事例の反省点等についてパネルディスカッションを行った.参加者は75名であった.本シンポジウムの要旨は公開している (http://www.ilt.saga-u.ac.jp/index.html).8月3日にはワークショップ「干潟域大規模干拓・開門の環境影響に関する研究」を行った.日本から3名(研究分担者の五十嵐,樫澤,連携研究者の濱田),韓国から3名(韓国海洋研究院の李恵京,韓国水産研究院の金亨哲,韓国海洋環境管理公団のハン仁瑞)の発表があり,終日かけて公開では話題にしにくい技術的な問題に含めて充実した議論を行った.翌8月4日には,海上から有明海を,上陸して諫早湾干拓地の現地視察を行った.年度後半には佐藤,五十嵐,李は韓国での現地調査を実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り,5月に韓国側カウンターパートと打ち合わせのために訪韓し,ワークショップの基本的な構成・人選等について打ち合わせを行った(速水・李).韓国から6人の研究者を日本に招待し,福岡市において一般公開で日韓共同国際シンポジウム開催した.続けて,さらに非公開でワークショップを行い,十分な時間をかけて検討を行った.シンポジウム結果は要旨集にまとめてて印刷するとともに,インターネットで発信している.セマングム,シファ,スンチョンの現地視察と調査を行った(速水・五十嵐・李・佐藤).また,韓国側カウンターパートと次年度に行うワークショップについて打ち合わせた.メンバーそれぞれで(必要に応じて共同で),各専門分野に通じた韓国側人材と連絡し合い,資料収集を進めた.さらに収集したデータを元に,4つの大規模干潟・高濁度浅海域の共通点と相違点,あるいは日韓の共通点と相違点を整理した.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は,日本側研究者が訪韓し,韓国で日韓共同国際シンポジウム,ワークショップを開催する.また,セマングム,シファ,スンチョンの現地視察と調査を行う.シンポジウムのプロシーディングスを印刷&インターネットで発信する.担当者それぞれで(必要に応じて共同で),訪韓およびワークショップで得られた各専門分野に通じた韓国側人材と,インターネット・郵便を用いて連絡し合い,資料収集を進める.さらに,収集したデータを元に,4つの大規模干潟・高濁度浅海域の共通点と相違点,あるいは日韓の共通点と相違点を整理する.担当者が集まって各自の成果をまとめて報告し,総合化するための議論をする.最終年度には各成果を集めて比較検討し,研究代表者が中心になって報告書にまとめる.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は,韓国で国際シンポジウム,ワークショップを開催する.また,始華,セマングム,スンチョンの現地視察と調査(サンプリング,聞き取り,資料収集)をする.そのため,1)研究代表者,分担者,連携研究者の訪韓旅費(日本→韓国),2)シンポジウム・ワークショップ開催費,3)講師謝金・アルバイト人件費,4)プロシーディングス作成費用が必要である.現地調査に日本国内の研究協力者(大学院生等)を同行させる場合,その旅費も必要となる.また,国内では,東北大の佐藤が打ち合わせ・調査のために佐賀・有明海へ行くための旅費が発生する.
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