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2011 年度 実施状況報告書

特発性男性不妊症における精巣モノADPリボシル化システムの役割

研究課題

研究課題/領域番号 23510242
研究機関徳島大学

研究代表者

田嶋 敦  徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (10396864)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード遺伝子相互作用解析
研究概要

1.改良酵母ツーハイブリッド法により、ART3 (ADP-ribosyltransferase 3)と相互作用するタンパク質の網羅的同定を試み、ART3の機能に関わると推定されるARTドメインに相互作用するタンパク質を複数見いだした。これら相互作用分子のなかには、精巣特異的に発現し、精子形成に関わることが知られている遺伝子が含まれることを明らかにした。ART3は精巣内で精母細胞特異的に発現する遺伝子であることから、機能的に有望な相互作用候補を同定したと考える。2.既存インタラクトームデータベースを参照することにより、本年度同定したART3相互作用分子間の関係性を明らかにし、ART3を介した分子ネットワーク(ART3パスウェイ)の推定を試みた。次年度以降、実験的な検証を試みる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題は、初年度(本年度)の成果に基づき次年度以降の研究を行うという逐次型研究であるが、本年度計画の主要部分(ART3相互作用分子の網羅的同定、ART3パスウェイの推定)は計画通り達成された。

今後の研究の推進方策

今年に入り、中国の非閉塞性無精子症(NOA)患者を対象としたゲノム全域関連解析から、NOAの遺伝的リスクに関わる3つの感受性遺伝子座が報告された(Hu, Xia & Guo et al., Nature Genet 2012)。本年度の研究により、そのうちの1つの遺伝子座に位置する遺伝子ファミリーとART3とが相互作用する可能性を見いだしたことから、この相互作用遺伝子を遺伝学的に有望な相互作用候補とみなし、 次年度は、候補遺伝子内のDNA変異検索や、候補遺伝子とART3との相互作用に関する詳細解析を中心に研究展開を行う。

次年度の研究費の使用計画

本研究課題は、ヒト精巣におけるART3の役割を分子遺伝学的、統計遺伝学的に分析することを目的としているが、 研究企図の背景として、NOA患者における造精機能障害の分子基盤の理解が十分なされていないことが挙げられる。2012年初頭に中国の研究グループより報告されたNOA感受性遺伝子は、ヒト造精機能障害を理解するためのART3以外の有望な遺伝子であると考え、本年度末は、これら遺伝子とART3との関わりを遺伝学的に分析するための準備に注力し、これら分析の遂行に必要な研究費を次年度繰り越しとした。次年度は「今後の研究の推進方策」に記した研究に加え、中国人集団において報告されたNOA感受性SNPs (single nucleotide polymorphisms)につき、(1) 日本人集団におけるNOA発症への関与、ならびに、(2) ART3疾患感受性SNPs/ハプロタイプとの間の遺伝要因間相互作用(遺伝子-遺伝子相互作用)の有無、を明らかにするための症例-対照関連解析を新たに遂行することにした。具体的には、NOA・重度乏精子患者700名および有妊対照男性1100名(倫理承認を得て取得済み)を分析する準備が整ったので(連携研究者の井ノ上逸朗と打ち合わせ済み)、次年度、報告されている新規NOA感受性SNPs (3 SNPs)の遺伝子型決定を遅滞なく行い、NOA発症やART3との遺伝子-遺伝子相互作用に関する統計遺伝学的な分析を行う。この追加分析により、ヒト造精機能障害の理解が深まるとともに、NOA発症おけるART3の遺伝学的な位置付けも明らかにすることができる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] High-risk ovarian cancer based on 126-gene expression signature is uniquely characterized by downregulation of antigen presentation pathway.2012

    • 著者名/発表者名
      Yoshihara K
    • 雑誌名

      Clin Cancer Res

      巻: 18 ページ: 1374-1385

    • DOI

      10.1158/1078-0432.CCR-11-2725

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Identification of independent risk loci for Graves' disease within the MHC in the Japanese population.2011

    • 著者名/発表者名
      Nakabayashi K
    • 雑誌名

      J Hum Genet

      巻: 56 ページ: 772-778

    • DOI

      10.1038/jhg.2011.99

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A systems genetics approach provides a bridge from discovered genetic variants to biological pathways in rheumatoid arthritis.2011

    • 著者名/発表者名
      Nakaoka H
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 6 ページ: e25389

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0025389

    • 査読あり
  • [学会発表] 関節リウマチにおけるシステムズ・ジェネティクス・アプローチ~感受性遺伝子座から生物学的経路の推定2011

    • 著者名/発表者名
      中岡博史
    • 学会等名
      日本人類遺伝学会第56回大会
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉県)
    • 年月日
      2011年11月11日
  • [学会発表] マイクロRNAネットワークの遺伝的多様性とヒト疾患との関わり2011

    • 著者名/発表者名
      田嶋敦
    • 学会等名
      日本人類遺伝学会第56回大会
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉県)
    • 年月日
      2011年11月10日
  • [学会発表] 愛知がんセンター大規模病院疫学研究システムに基づくHLAクラスIIアレルとピロリ菌感染に関する横断研究2011

    • 著者名/発表者名
      田嶋敦
    • 学会等名
      第70回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(愛知県)
    • 年月日
      2011年10月3日

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公開日: 2013-07-10  

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