研究課題
1.改良酵母ツーハイブリッド法により、ART3 (ADP-ribosyltransferase 3)と相互作用するタンパク質の網羅的同定を試み、ART3の機能に関わると推定されるARTドメインに相互作用するタンパク質を複数見いだした。これら相互作用分子のなかには、精巣特異的に発現し、精子形成に関わることが知られている遺伝子が含まれることを明らかにした。ART3は精巣内で精母細胞特異的に発現する遺伝子であることから、機能的に有望な相互作用候補を同定したと考える。2.中国の非閉塞性無精子症(NOA)患者を対象としたゲノム全域関連解析から報告された4つの疾患感受性遺伝子座(Hu, Xia & Guo et al., Nature Genet 2012)につき、 日本人集団におけるNOA発症への関与の程度を症例-対照関連メタ解析(症例490検体、対照1167検体)により分析したところ、3つのSNP遺伝子座(rs12097821 [1p13.3], rs2477686 [1p36.32], rs10842262 [12p12.1])は、日本人NOA患者に対しても発症リスクを与える可能性を見いだした。このうちの1つの遺伝子座に位置する遺伝子ファミリーと、本研究課題の対象遺伝子である ART3とが分子相互作用することを前年度見いだしており、ART3を介した分子ネットワーク(ART3パスウェイ)を理解する上での分子遺伝学的に有望な相互作用候補を同定したと考える。3.研究成果をさらに発展させるするために、一般成人男性の生殖特性(精子濃度、血中ホルモン濃度など)との関わりについてのゲノム全域SNP関連分析を実施し、性ホルモン、性腺刺激ホルモン濃度の個人差に関わる遺伝因子候補を見いだした。精巣内相互作用のみならず、視床下部-下垂体-性腺軸システムとの連関についても今後明らかにしていく予定である。
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