研究課題
細胞のがん化におけるタンパク質SUMO化の役割を、ケミカルバイオロジー的手法を用いて明らかにすることを目的とし、主に以下の4点について研究を推進した。1. SUMO E2阻害剤spectomycin B1の抗がん活性。天然物であるspectomycin B1をSUMO E2阻害剤として同定した。さらにspectomycin B1あるいはSUMO E2ノックダウンはホルモン依存的な乳がん細胞の増殖を抑制することを明らかにし、spectomycin B1のようなSUMO E2を阻害する低分子化合物は抗乳がん剤として有望であることを示した。2. 新規SUMO化阻害剤の探索。ハンカチノキの葉の抽出物のSUMO化阻害活性成分としてエラグ酸とダビジインを同定した。特に、ダビジインのIC50は0.15 μMであり、これまでで最も強いSUMO化阻害の同定に成功した。加えて、インシリコスクリーニングを用いて、新規構造を有する複数のSUMO E1阻害剤の同定に成功した。3. 脱SUMO化酵素SENP阻害剤の探索。In situ 脱SUMO化アッセイを用いて、SENP1を選択的に阻害する複数の化合物の同定に成功した。そのうち、最も強いSENP1阻害活性を示す化合物について詳細な解析を行った。本化合物は、細胞レベルでも脱SUMO化阻害活性を示し、さらに低酸素微小環境下のがん細胞の生存に重要な転写因子HIF-1αの活性を減少させることを見出した。加えて、インシリコスクリーニングを用いて、新規構造を有するSENP2阻害剤の同定に成功した。4. SUMO-SIM結合阻害剤の探索。インシリコスクリーニングを用いて、世界初のSUM-SIMの結合を阻害する低分子化合物の同定に成功した。さらに、スプリットルシフェラーゼの原理を応用したin vitroおよびin vivoでHTS可能なアッセイ系の構築に成功し、化合物ライブラリーからSUMO-SIM阻害剤の探索を可能にした。
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