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2011 年度 実施状況報告書

脳神経科学に基づく人格概念の自然化とその刑法学的意義

研究課題

研究課題/領域番号 23520009
研究機関東北大学

研究代表者

原 塑  東北大学, 文学研究科, 准教授 (70463891)

研究分担者 内海 朋子  横浜国立大学, 国際社会科学研究科, 准教授 (10365041)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード哲学・倫理学 / 神経科学 / 刑法学
研究概要

本研究の目的は、神経哲学において議論されてきた自然主義的な人格概念(特に、自己や自由意志概念)を幅広く調査し、その刑法学的意義を明らかにすることである。平成23年度最初に行ったのは、刑法にとって関連性をもつ人格がもつ性質としてどのようなものがあるのかを改めて調査することだった。立命館大学法科大学院教授、松宮孝明氏の協力を得て検討した結果、刑法の法益論に関連する人格の側面として感情があることが明らかとなった。そこで、刑法における感情の役割の調査・検討を、研究課題の一つとして追加することにした。平成23年度後半、研究分担者の内海の助言を得ながら、研究代表者の原が、嫌悪感情に焦点を当てつつ、刑法における感情の意義の研究を実施した。その研究結果を2012年2月に立命館大学で開催された刑法読書会2012年2月例会において発表した。研究会での討論をもとに原稿を改訂し、論文「刑法における嫌悪感情の役割と社会脳――リーガル・モラリズムと嫌悪感情――」を原が執筆した。この論文は、苧阪直行編『社会脳シリーズ第2巻 社会意識を育む脳――神経哲学と神経倫理学――』に収録、公刊される予定である。自己に関しては、自然主義的自己論を展開した書物である、Metzinger, T. 2009. The Ego Tunnel: The Science of the Mind and the Myth of the Self. New York. Basic Books の翻訳を年度後半に開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は、神経哲学において議論されてきた自然主義的な人格概念を幅広く調査、検討し、その刑法学的意義を明らかにすることである。平成23年度においては、研究課題の一つに追加した、刑法における感情の役割を調査し、その結果を論文にまとめることができた。また、自然主義的な自己概念については、これを論じた書物を翻訳途中である。以上のペースにより研究を進めていけば、研究期間中に研究目標を達成することは十分に可能であると考えられる。

今後の研究の推進方策

自然主義的自己論を展開した書物である、Metzinger, T. 2009. The Ego Tunnel: The Science of the Mind and the Myth of the Self. New York. Basic Books の翻訳を平成23年度後半に開始したが、この翻訳を平成24年度中には完成させる計画である。また、自然化された自由意志概念の調査を開始し、平成25年度中にその刑法学的意義を検討し、研究成果を論文もしくは研究発表を通じて、公刊する予定である。

次年度の研究費の使用計画

平成23年度、特に後半は、刑法における感情の問題に焦点を絞り、論文作成に専念したこともあり、自然主義的な自己、自由意志概念の調査・検討の作業とそれを実施するための研究費を次年度以降に持ち越すことになった。平成24年には、自己や自由意志概念の調査・検討に研究費を使用する。例えば、2012年5月に大阪大学で実施される日本刑法学会第90回大会では、ヴォルフガング・フリッシュ氏(フライブルク大学)による招待講演「責任刑法の将来:責任刑法と神経科学」が予定されているが、これに参加し、神経科学の刑法に与える影響の国際的な研究動向を調査したい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 刑法における嫌悪感の役割と神経科学――リーガル・モラリズムと嫌悪感――2012

    • 著者名/発表者名
      原塑
    • 学会等名
      刑法読書会2012年2月例会(招待講演)
    • 発表場所
      立命館大学
    • 年月日
      2012年2月4日

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公開日: 2013-07-10  

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