フランス哲学、特にフランス現象学と科学認識論に立脚しながら、生命と技術と文化という、場合によっては相対立すると同時に、21世紀の今日において必然的に交錯することにもなるこれら三者を包括することのできる新たな「自然」の概念と、それに基づく現代的な自然哲学の構築を目指した。特にアンリ、シモンドン、ドゥルーズらの哲学における自然概念の再検討を通して、自然と人為=文化、生命と技術、文化と技術という対立に先立つ非全体的な場所としての自然という概念に到達する必要性と共に、それを様々な学問領域との対話の中でさらに練り上げつつ、この概念に基づく「自然哲学」の可能性を展開すべきことが明らかになった。
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