当研究の成果として、アルゼンチン日系移民一世であった増山朗の日本語小説『グアラニーの森の物語』(川村湊編、インパクト出版会、2013・8)を刊行した。著者・増山朗のご子息、ホルヘ増山氏と家族、掲載誌であった日本語同人誌『巴茶媽媽』の創刊同人ホルヘ・ゴンザレス氏、著者の増山と生前親交のあった台湾宏観電視特派員・曾昭陽氏、『らぷらた報知』日本語編集長・崎原朝一氏らとブエノスアイレスの日本庭園にて刊行記念会を催した。その様子が『らぷらた報知』(2013・9・10号)に掲載された。 調査を行った現地の各邦字新聞、『ニッケイ新聞』(ブラジル・サンパウロ)、『らぷらた報知』(アルゼンチン・ブエノスアイレス)、『ペルー新報』(ペルー・リマ)、さらに韓国語新聞、『KORNET NEWS』(アルゼンチン・ブエノスアイレス)にわれわれの調査活動が掲載され、各現地移民コミュニティに広く紹介された。そのため、移民の方々に広く周知され、資料収集や現地インタビューをスムーズに行うことが出来た。 韓国系移民の歴史と、発刊された韓国語文芸誌を調査し、その意義を論文化したことで、休刊中だったブラジル韓国語文芸同人誌『熱帯文化』が2013年に再刊された。サンパウロの韓国人街・ボンヘチロに代表されるような職業的コミュニティだけではなく、文芸同人に代表されるような、ソフトウェアとしてのコミュニティも、移民研究を行う上での重要な研究要素となると考える。その成果として研究協力者の金煥基(韓国東国大学校日語日文学科副教授)は、2013年8月に『アルゼンチン、コリアン文学選集』、『ブラジル、コリアン文学選集』(ともに韓国ボゴ社)の二冊を刊行した。
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