研究課題
本研究は、明治期の代表的な出版社である博文館(~1948年)の編集者であり、作家でもあった故・南部新一(1894~1986)の書簡を調査・研究することである。その成果としては、まず、南部書簡の整理、データ化、撮影を行うことによって、近代文学、児童文学、出版史等、幅広い分野にわたる研究の基礎資料の整備ができた。そして、書簡の中から博文館の代表的な編集者であった巖谷小波、武田鶯塘、木村小舟について詳細に研究することで同館の児童雑誌の編集、大正期の児童文学のありよう、児童書・児童雑誌の看板作家であった巖谷小波の動向などについて明らかにすることができた。これらの成果を踏まえ、今年度は全ての書簡の概要をまとめ、データ化し、差出人の一覧は「大阪国際児童文学振興財団研究紀要」27号に、書簡の概要は、当財団のホームページ上に公開することができた。加えて、日本児童文学学会研究大会(2013年11月)でシンポジウム「巖谷小波研究の現在―没後80年、児童文学研究の可能性を考える」を行い、本研究を含む巖谷小波研究の意義について問い直す機会を持つことができた。このシンポジウムの内容は「大阪国際児童文学振興財団研究紀要」(同前)にまとめた。また、松美佐雄および池田文痴菴、博文館館員(元館員を含む)の書簡について詳細な研究を行い、前出「紀要」に発表した。それにより、口演童話(松美佐雄)、森永製菓(池田文痴菴)、出版社(博文館)と児童文学・児童文化との関わりなどのテーマが含まれ、従来の児童文学研究の枠を広げ、深めることができた。
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大阪国際児童文学振興財団 研究紀要
巻: 27 ページ: 1-14
巻: 27 ページ: 15-31
巻: 27 ページ: 33-63
http://www.iiclo.or.jp/06_res-pub/01_research/index.html