本研究では「コスモポリタニズム」をキーワードに据え、アメリカ近代化の歴史を主にエスニシティに関する意識変革の歴史として再編成することを試みた。共和制コスモポリタニズムの伝統が、WASP的人格に凌駕される過程を建国期文学の中に辿った一方で、コスモポリタニズムの伝統が、WASP化するアメリカに相対する価値観として、ニューヨークの地域性として残存する現象が確認された。その結果、WASP的価値観の是非を巡る文化的葛藤、さらには国家主義と地方主義の間の対立といった要素を、アメリカ近代化の現象として抽出することが出来た。
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