研究課題/領域番号 |
23520460
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
町田 健 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (60190378)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 時制 / アスペクト / 動作態 / 文の意味 / 状況 / 言語類型 / 言語哲学 |
研究概要 |
1. 文が表示する時間特性について、言語学および哲学の分野でこれまでに提出されてきた知見を検討し、さらに一般的・普遍的な観点から考察して、これまでの研究において記述や説明が不十分であった点に関し、より妥当性をもつと考えられる説明を提示した。2. 考案した記述と説明の枠組みを基礎として、日本語、英語、ロマンス諸語等の言語によって表現された文が表示する具体的な時間的特性を合理的に導出する方法を提示した。3. 世界の言語の代表として取り上げたいくつかの言語について妥当であると判断された、文の時間的特性を記述・説明する方法が、任意の自然言語においても妥当であるかどうかを検証するために、個別言語の時制・アスペクト体系を記述した文献を収集するとともに、ここに記述されている体系を集積するデータベースの作成に取りかかった。4. 個別言語のより具体的な資料を収集するために、フランス語諸方言に関する実地調査を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目的としていた言語の時間的特性に関する理論的な分析は予定通りの成果をあげることができた。一方、個別言語の時制アスペクト体系を集積するデータベースの作成と、個別言語の記述に関しては、資料の収集に時間がかかったこともあって、当初の目的に到達していない部分もある。
|
今後の研究の推進方策 |
1. 文が表示する時間的特性を普遍的な枠組みで表示し、この表示がいかにして導出されるかに関する分析は一定の成果をあげているが、時間的特性の決定に動詞と同様に重要な要因として関与する名詞の意味特性や、文が使用される状況の考察がまだ十分ではないので、これらの要因を組み入れる理論的枠組みを整備する。2. 世界の諸言語の時制・アスペクト体系に関するデータベースについては、引き続きその構築を進めていく。できるだけ多くの言語に関する資料を収集して、資料に記述された内容をデータベースに反映させる。3. 文献資料のみでは不十分な時間的特性およびその表示方式については、現地に赴いて調査を行うとともに、専門的研究者から情報を収集する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
1. 世界の諸言語を記述した資料を購入する。2. 個別言語および方言の時制・アスペクト体系を、現地に赴いて調査する。この調査のために必要な機器を購入する。3. 調査に行くのが困難な地域の言語に関しては、当該言語の専門家より具体的な情報を収集する。この際に交通費・宿泊費・謝金を支出する。4. 世界の諸言語の時制・アスペクト体系に関するデータベースの構築に際し、入力等の作業に研究補助者を雇用する。
|