本研究は、人間のさまざまな経験や考えを伝える始原的伝達様式として広く認知されているナラティヴの社会文化的機能について、日英語の物語テクストコーパス(3歳から15歳対象)を構築し、その実態調査と研究を進めることを目的とした。具体的には、対象年齢別に選ばれた読物と対象となる子供たちによって書かれたテクストとの比較分析を行い、本の選定基準の検証、経験の中での問題解決パタンの段階的な表出と修得の実態、また受容言語と使用言語で具現される言語資源のマッピングについて、包括的な分析の枠組をもとに考察した。また、その実践的応用として、言語教育と臨床心理学の分野での検証研究にも着手した。
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