研究課題/領域番号 |
23520484
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研究機関 | 小樽商科大学 |
研究代表者 |
山田 久就 小樽商科大学, 言語センター, 准教授 (60345246)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | アバール語 / ロシア / コーカサス |
研究概要 |
(i)動詞A+動詞Bのタイプの複合動詞で動詞Bとしてどの動詞がどのような意味で使われているのか、(ii)それぞれの動詞Bに対して動詞Aとしてどの動詞がどのような変化形で使われているのか、(iii)動詞が単独で使われている時と動詞A+動詞Bのタイプのそれぞれの複合動詞で動詞Aとして使われている時で動詞の項が取る格に違いがあるのか、ある場合は、どのような対応関係を示すのかということを中心にアバール語の動詞A+動詞Bのタイプの複合動詞の特徴を明らかにしていくための基礎段階として、標準アバール語で書かれた本、雑誌、新聞のテキストからいろいろなタイプの複合動詞を拾い出して、どのようなタイプの複合動詞があるのかを見つけるとともに、いくつかのタイプの複合動詞に関して電子化してあるテキストの中にあるそれぞれの実例にXML形式で注釈のタグを加えることを行った。新しく見つけた複合動詞の一例を示すと、反実仮想の条件文の主節で未来時制の連体形+AM-uk'ine「ある、いる」の過去時制の連体形が疑問詞とともに使われている。また、電子化テキストにタグを加えた複合動詞の一例を示すと、現在時制あるいは未来時制の連体形+AM-uk'ine「ある、いる」で表される動詞の進行相である。どの動詞が動詞Aだと動詞Aが現在時制で用いられるのか、未来時制で用いられるのか、現在時制でも未来時制でも用いられる場合には、お互いの頻度がどうであるのかを明らかにできるようにそれぞれの実例にタグを加えていった。また、この複合動詞では、動詞Aが他動詞である場合、Aが能格あるいは絶対格で現れるので、それが区別できるようにそれぞれの実例にタグを加えていった。 このようのアバール語の複合動詞に関してどのようなことがどの程度すでに述べられているのかを知るために、直接的および間接的にこのような複合動詞を扱っている文献の収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一年目は、(i)標準アバール語で書かれているテキストを読み、知られていない(記述されていない)動詞A+動詞Bのタイプの複合動詞を見つけること、(ii)電子化テキストを自作の検索プログラムで検索するために、電子化テキストに現れるいろいろなタイプのそれぞれの複合動詞に文法情報に関する注釈のタグを加えること、(iii)電子化テキストを増やすことを主要な課題として研究を進めてきた。(i)、(ii)に想像していたよりも多くの時間がかかったので、(iii)にはほとんど時間を割くことができなかったが、予定した最低限度よりは先に進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
一年目に行ってきたことを継続するとともに、すでに文法情報に関するタグを入れた電子化テキストを自作の検索プログラムで検索し、データを整理して、動詞A+動詞Bのタイプの複合動詞それぞれに関して、(i)動詞Aとして現れる変化形、(ii)動詞Aとして現れる動詞の意味的および形態的タイプ、(iii)動詞Aの項が取る格を中心として、その特徴を明らかにしていき、論文にまとめる。 アバール語のこのような複合動詞を直接的あるいは間接的に扱っている文献を読み、参考にする。とくに、直接のテーマではなく、間接的に扱っている文献(たとえば、モダリティに関する文献)などは見つけるのが大変であるので、なるべく広いテーマの文献に目を通していく。 他言語の同様の複合動詞に関する文献は、アバール語の分析に有益であるし、共通点と相違点を明らかにするためにも、いろいろな言語の文献に目を通していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
いろいろな言語の動詞A+動詞Bのタイプの複合動詞を直接的あるいは間接的に扱っている本の購入を行う。他大学の図書館にしかない本、雑誌を取り寄せ、必要な個所の複写を行う。アバール語および他言語の情報収集のためロシアへの調査旅行を行う。その際、図書館等で必要な文献の複写を行う。調査旅行に持っていくノートブックコンピュータを購入する。コンピュータのソフトウェアをいくつか購入する。メモリカードなどの消耗品を多少購入する。
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