研究課題/領域番号 |
23520630
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
稲葉 みどり 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (50273298)
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キーワード | 第一言語習得 / 第二言語習得 / 言語発達 / 接続表現 / 物語文 / CHILDES / CLAN / FROG STORY |
研究概要 |
第一言語のデータの分析を行った。特に3、4歳児の接続表現に着目して発達の過程の分析を進めた。その結果、宮田&稲葉(2014)では、以下のことが明らかになった。連結表現の発達は、全体構造の発達と相まって使用頻度と種類が増加していると言える。形式面では語彙的連結から統語的連結へのシフトがあると予測したが、統語的連結が3歳児ですでに6割程度で使われ、4歳児と変わらなかった。また、意味面では時間的連結から論理的連結(因果的・逆接的)へのシフトを予測したが、時間的連結の方が圧倒的に多く、論理的連結にはわずかな増加しか見られなかった。また、本研究の分析は限られた年齢の範囲なので、Berman & Slobin(1994)の主張するような、語彙から統語へというような明確な発達は検証できなかった。この点を検証するには、5歳児以降の発達、そして成人のこの物語における使用の実態を調査する必要があり、今後の課題である。 以上に加えて、データベースの整備を行った。録音資料の音声とテキストが一致しているかどうか、テキストの表記が統一されているかどうか。コーディングが正しく行われているかどうか等を点検した。データベースは、ローマ字、仮名表記の両方を用いているため、仮名表記においては、漢字、ひらがな、カタカナ等の表記の不統一な箇所がみられたので、統一した。特にコーディングに関しては、査定者によってゆれがあるかどうかを複数名でコーディングを行い、一致の割合を基に、再検討して修正を加えた。この作業今後も継続的に行い、コーディングの妥当性を上げていく必要があると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データベースを実際に稼働して、分析に着手している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、物語文の発達の研究をさらに進める予定である。第一言語発達の分野では、今年度の継続課題として、接続表現の発達の研究をさらに進める。5,6歳児以降の発達過程を明らかにすると共に、英語を母語とする子どもの接続表現の発達過程や第二言語として日本語を学ぶ成人の発達過程等と比較することにより、言語発達の過程一部の解明をしたいと考えている。また、今年度は、研究のまとめとして、学会発表や報告書の作成を通じて成果を公表する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は、物品の購入価格が予定より安価だったこと、予定していたデータ整理の作業補助者に専門性のある人が見つからなかったのですべて自分で行い、謝金を使用しなかったこと、予定していたプリンターの購入、及び、研究発表のために必要な資料作成を平成26年度に延期したこと、今年度応募した学会の開催が平成26年度中に行われることなどにより、繰り越しする予算が生じたため、次年度使用額が生じた。 次年度の計画としては、研究のために資料調査、学会発表(国際学会4件、国内学会1件は確定)、論文発表、及び、総括としての報告書の作成を予定している。これらには、プリンター、データ保存メディア、アプリケーションソフト等の物品費、学会、調査のための国内、海外旅費、データ整理補助等の人件費・謝金等に予算を使用する予定である。
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