第一言語と第二言語の物語文について、平均発話長(MLU)及び、使用語彙の頻度の分析を行い、発達段階の考察、第一言語習得と第二言語習得の過程の類似点、相違点の考察を中心に進めた。分析には、米国カーネギメロン大学のMacWinney(2000)によるCHILDES (Child Language Data Exchange System)を使用した。また、日本語フォーマットは、宮田・森川・村木(2004)を用いた。平均発話長の分析のため、CHAT(Codes for the Human Analysis of Transcripts)フォーマットのデータに形態素コードMORを付与した。日本語のデータには、宮田(2012)のJMOR形態素コードに沿った。データの解析はCLAN(Computerized Language Analysis)プログラムを用いた。 第一言語の物語文3歳~11歳までのMLUの変化、成人のMLUを算出し、発達の過程を考察した。また、第二言語の物語文についても初級から上級までの5段階のグループのMLUを算出し、変化を提示した。第一言語と第二言語の変化の過程を比較した。さらに、物語文に使われている語彙の種類、頻度、その比率を解析し、年齢による語彙数、種類、その比率の変化の推移を提示した。同様の解析を第二言語の物語文についても行い、両者を比較した。分析の結果、第一言語の発達過程も第二言語の発達過程も類似した変化が観察された。子どもの発達過程と第二言語の発達過程では、年齢、習得環境等にちがいがあるが、両者で類似の過程が見られたことは興味深く、その要因等の更なる分析が今後の課題である。
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