研究課題/領域番号 |
23520673
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
大年 順子 岡山大学, 言語教育センター, 准教授 (10411266)
|
研究分担者 |
金子 義隆 宇都宮大学, 基盤教育センター, 准教授 (70389774)
HEFFERNAN NEIL 愛媛大学, 英語教育センター, 准教授 (40524690)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 英語教育学 / EFL / ライティング / フィードバック |
研究概要 |
初年度の平成23年度の研究目標は、記述フィードバックのデータ収集であった。まず、研究代表者・分担者が勤務する言語教育センターの、日本人および英語ネイティブ教員合計30名より実際に学生のアカデミックライティングに対して記述フィードバックを行ってもらった。研究代表者および分担者は、収集されたデータを下記の基準にしたがって分類した:(1)内容・展開 (2)構成 (3)文法 (4)語彙 (5)綴り・句読点など。その後、(2)の構成に焦点をあててアカデミックライティングの重要な評価観点である「結束性」(Cohesion)についてこれまでの研究から得られた定義をもとにさらに記述フィードバックを質的検証法であるKJ方を用いて分類していった。その結果、当該研究に参加した日本人教員と英語ネイティブ教員の記述フィードバックの間に、結束性に関する記述フィードバックの特徴に差異がないことが分かった。また、日本人教員およびネイティブ教員ともにトピックセンテンスの書き方について、フィードバックがもっとも多く寄せられていることが認められた。研究者たちはさらに、日本人・英語ネイティブ教員からインタビューを行い更なる記述フィードバックに対する教員の意識を調査した。インタビューデータは、記述フィードバックに参加した教員の中から、日本人教員2名、英語ネイティブ教員3名から収集された。両グループとも、実際にフィードバックを与える際の留意点を質問し、結束性に焦点を置いて分析をした。その結果、両グループともライティングのClarity に考慮してフィードバックを行っていることが確認された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の平成23年度の研究は、言語学的見地から、記述フィードバックを分類していくことであった。30名の教員からの記述フィードバックを収集して、もっとも複雑なライティング観念である結束性に焦点をあてて、日本人教員と英語ネイティブ教員のフィードバックを分析することができた。このデータを分析して、平成24年8月9,10,11日にアメリカ合衆国インディアナポリスで開催される7th Intercultural Rhetoric and Discourse Conference で発表予定である。したがって、平成23年度の研究の目的は概ね達成できたといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
研究2年目となる平成24年には、アメリカ合衆国インディアナポリスで開催される7th Intercultural Rhetoric and Discourse Conference に研究代表者および研究分担者全員で出席し国際発表を行う。発表後に期待されるフロアからの質問や意見を考慮し、また学会参加の国際研究者との議論を通して、更に研究を促進させたい。特に平成24年度は実際に日本人大学生にアカデミックライティングを行わせ、23年度の研究結果をもとに「結束性」に集中した記述フィードバックを行う。その記述フィードバックがどのように日本人学習者のライティングの質に影響を与えるか分析していく。また、ライティングの質的分析だけでなく、学習者の情意側面にも注目して記述フィードバックが学習者の動機づけにどのような影響をもたらすかもみていく。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成24年8月成24年8月9,10,11日にアメリカ合衆国インディアナポリスで開催される7th Intercultural Rhetoric and Discourse Conferenceにおいて学会発表をするため研究グループ3名の渡航費および滞在費などが必要である。また、日本人学習者のアカデミックライティングデータを収集するために米国ETS開発のオンラインライティング評価ツール、Criterionを使用するため、研究費の一部を使用する予定である。
|