研究課題/領域番号 |
23520840
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
伊藤 俊一 名城大学, 人間学部, 教授 (50247681)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 荘園制 / 代官請負制 / 室町期荘園制 |
研究概要 |
研究計画に従い、初年度は主として所属研究機関に架蔵されている史料集・写真帳を使って、東寺領荘園を中心に室町期の荘園代官の任免についての史料を収集すると共に、任期中の荘園経営の実態について検討を進めた。その結果、「嘉吉の乱によって代官請負制の遂行に危機をもたらし、立て直しのために様々な模索が行われた」という当初の予想とはやや異なり、代官請負制の危機は嘉吉の乱という政治的な契機よりも、応永末・永享年間から生じた天候不順(特に水害)による耕地の流出や用水路の毀損による農作物の不作の要因が大きく働いているとの感触が得られ、また永享末・嘉吉年間から代官の主導による積極的な耕地の再開発や用水路の再整備が行われていた事例も明らかになった。 そのため、この問題についての史料収集と現地調査を進め、その成果については、「室町時代の荘園興行―応永末~寛正年間の水害とその復興、東寺領を中心に―」(2012年1月中世史研究会例会)との表題で研究報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
代官請負制の危機に関する仮説の修正で生じた新たな研究課題を追求したため、代官請負に関する全体的な史料収集やデータベースの作成は当初の予定よりやや遅れているが、代官請負制の変質の要因や代官による荘園経営についての新たな知見が得られつつあるため、全体としては順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
代官請負に関する史料の広範囲な収集、代官請負事例についてのデータベースの作成という当初の計画は予定通り推進しつつ、今年度の研究で明らかになった応永末・永享年間以降の代官請負の変質(天候不順と再開発)については、個別事例の詳細な検討と現地調査も含めて追求して行く。また、室町政権の安定に伴って代官請負が広範囲に拡大するとの仮説を立てている室町期初期についても、それをめぐる事情について個別事例を検討し、仮説の正否を検証して行く。
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次年度の研究費の使用計画 |
デスクトップパソコンについては、研究期間が5年あることを鑑み、既存の機材で間に合わせて今年度は購入を見送ったが、来年度は購入する予定である。また史料のデジタル化によって作業を効率化するため、ドキュメントスキャナの購入も予定している。 今年度は所属研究機関に架蔵されている史料の分析が中心であったため、史料閲覧のための出張は少なかったが、来年度は実施する。また代官・沙汰人による耕地の再開発の実態を明らかにするため、荘園の現地調査の出張も実施する。
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