研究課題/領域番号 |
23520840
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
伊藤 俊一 名城大学, 人間学部, 教授 (50247681)
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キーワード | 室町期荘園制 / 代官請負制 / 荘園経営 / 水害史 |
研究概要 |
所属研究機関に架蔵されている史料集・写真帳、研究費で購入した史料集、東京大学史料編纂所架蔵の写真帳等を読解し、東寺領・相国寺領・西大寺領をはじめとする荘園代官の任免、および代官のもとでの荘園経営の状況についての事例を蓄積した。 また、この3年間の研究の一部に基づいて、15世紀に頻発した水干害への対応と、15世紀半ばに活発化する代官による再開発について概観した研究報告を行い、研究論文を執筆した。 これと並行して荘園故地の現地調査を実施し、水利条件や用水施設の敷設状況を把握して史料の正確な読解に役立てた。その結果、15世紀の代官請負制のもとで再開発が行われた条件や目的、成果、および歴史的変遷について、一定の見通し(仮説)を見出すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
網羅的なデータベースの構築はやや停滞しているものの、代官の荘園経営や再開発についての詳細な事例の蓄積は増えた。 これまでの研究の一部に基づいた研究報告を実施し、研究論文も執筆した。
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今後の研究の推進方策 |
史料集の購入や史料所蔵機関への出張調査等により、代官請負に関する史料の広範囲な収集、請負事例についてのデータベースの作成をこれまで通り続ける。また本年度の荘園の現地調査で成果があったため、既調査地の詳細な調査や、まだ訪れていない荘園故地の調査を実施する。 これらによって15世紀の荘園経営の状況を生産条件に即して把握すると共に、15世紀の代官請負の盛行、15世紀半ばの生産条件悪化と代官による再開発と混乱、15世紀末~16世紀初頭に起こったと想定される代官請負制の衰退と在地土豪勢力の台頭についてという仮説の成否を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
史料のデジタル化のため大型ドキュメントスキャナを購入する予定だったが、予定していた機種が廃盤となり現時点では適当な代替機種が見当たらないこと、研究の進展に伴い、史料のデジタル化より荘園故地の現地調査の方の優先順位が高くなり、調査旅費および調査に必要な器材・ソフトウェア・文献の購入費の確保が必要になる見込みが生じたために購入を見送った。またデスクトップパソコンの購入も同様の理由で見送った。これで浮いた分は、本年度中に現地調査を実施する時間が十分に取れなかったため残額となったが、次年度中には使用する。 荘園故地の現地調査を実施し、それに必要な器材、ソフトウェア、文献も購入する。
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