研究概要 |
平成23年度の研究は, 研究全般の基礎作業として小規模離島に関するデータベース 化を進めた.(1)統計資料類から人口規模,高齢化率,定期船や学校,病院の有無などの島 嶼別データを収集した.これらの量的データのほか,(2)「小規模離島の居住基本条件に関 するアンケート調査」を実施した. (1)については,主に平成17年度の国勢調査を使用し,人口規模別に小規模離島を抽出 したうえ,地域の脆弱性指標として高齢化率などを加味して検討,類型化を進めた.そ の結果,人口規模が500人以下の島が全国で211島,うち100人以下の小規模離島は110島 であった.50人以下では77島となり,10人以下の島も19島あった.これらの島々の高齢 化率は100%の島が6島,80%以上の島が18島あり,人口規模が50人以下の島のほとんど が超高齢化の島である.人口規模が小さな島ほど老人の島であることが明らかになっ た. 今後,小規模離島は地域の脆弱性が一層進めば,生活やコミュニティーの維持がさらに 困難となり,無人島化が現実味を帯びることとなる.この喫緊の問題のため(2)の予察的 なアンケート調査を瀬戸内海西部地域の島々で実施した.その項目は,1.就業形態 2. 定期航路の有無とその実態 3.急患者の対応方法 4.生活必需品の入手方法 5.地域コミ ュニティの有無などであった.現在アンケートは集計,分析中であるが,それぞれ島々 で,これらの問題について対応の実態が明らかになりつつある.
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