研究課題/領域番号 |
23520962
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研究機関 | 下関市立大学 |
研究代表者 |
平岡 昭利 下関市立大学, 経済学部, 教授 (90106013)
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研究分担者 |
須山 聡 駒澤大学, 文学部, 教授 (10282302)
宮内 久光 琉球大学, 法文学部, 教授 (90284942)
松井 圭介 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (60302353)
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キーワード | 小規模離島 / コミュニティーの維持 / 無人島化 / 脆弱性指標 |
研究概要 |
前年度に引き続き「離島統計」を分析するとともに、回収した瀬戸内海の小規模離島を対象にした予察的なアンケートを分析・整理した。加えて奄美大島、対馬での文献資料の収集と官庁でのヒアリングを実施した。 統計分析については、島の脆弱性の指標となる高齢化率、病院・学校の有無、離島航路の性格、買い物・救急など日常生活の維持などについて整理中であり、離島別の類型化などは遅れている。とりあえず高齢化率の高い島々から、段階的に島の個別データを作成している。 この予察的に行ったアンケートの結果と統計分析を合わせて検討した結果、瀬戸内海の島々では、本土に近いものの、大きく人口減少をみた島々が多く、無人島化した島、あるいは人口が8割減の島々も多い。高齢化率80%を超える島が全国で18島あるが、そのうち12島は瀬戸内海の島である。それらは人口50人以下の小規模離島であり、その要因に島のスケール規模が関係しており、小規模な離島ほど人口減少率・高齢化率が高いことが明らかになった。また、産業としては漁業は見られるものの、高齢化率の高い島では、経済的に強く年金に依存していることも判明した。なお、定期航路の維持は現在差し迫った問題であるが、すでに小規模離島の中には、航路を持たない島々もかなりある。救急の問題と関わるが、その場合本土の病院との連携網が整備が強く望まれている。生活必需品は本土へ買い物に行く場合もあるが、生協などの通信販売、買い物代行サービスなど様々な形で対応していることが、今回のアンケートで明らかとなった。 以上の結果を踏まえて、来年度は瀬戸内海の島々や奄美諸島、沖縄諸島などの小規模離島において住民の生活行動について詳細なフィールドワークを実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究計画では、統計類から小規模離島のデータベース化の充実と類型化を行い、調査対象の小規模離島を絞り込み、フィールド・ワークを実施することであったが、前者のデータベース化が遅れ、実地調査も予察的なものに留まった。 ただ、予察的に行ったアンケートは回収し、これらを整理、分析したことにより、得られた知見から、次年度は2~3の離島を選び、生活構造を含めた実態調査を瀬戸内海、奄美諸島、沖縄諸島で実施する。
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今後の研究の推進方策 |
調査対象の島々は、おおむね絞り込んだので、調査対象地域の自治体、関係団体の協力を得て、本格的な現地調査を進める予定である。研究分担者が、それぞれ奄美諸島、沖縄諸島、瀬戸内海などの離島で実態調査を行うので、その情報、成果をを共有するため、春、秋に少なくとも年2回の研究会を開催する。
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次年度の研究費の使用計画 |
離島地域を研究対象とするため、調査期間が長く、しかも休暇中に限定され、調査は実態調査なので、研究費の多くを出張の「旅費」充てる。また、研究会への出席も「旅費」の一部を使用する。なお、実態調査は、アンケートなども併用するので、その整理に「借金」を充てる。
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