本研究では茨城県や長野県を事例地域に第一次世界大戦以降を中心に、地域市場圏と中位中心都市のあり方の解明を試みた。結果は以下の通りである。茨城県北部の地域市場圏は、銀行の店舗配置から第一次世界大戦以降もその範囲が維持されていたと推測できた。つぎに中位中心都市における地方有力者は、商家経営を通じ卸・小売機能を維持し、近隣地域に商圏を拡大した一方、商業活動以外では、県庁所在地に機能を依存した。長野県および山形県の郷友会活動から、出郷先が東京から日本全国、海外へと拡大したことや、出郷者の行動をライフパスとして捉えられること、郷友会活動が郷里の意思決定にも影響を与えていた可能性を指摘できた。
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