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2013 年度 実績報告書

ミャンマーにおける「民族」の境界と「宗教」の境界の関係性に関する人類学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23520985
研究機関広島大学

研究代表者

高谷 紀夫  広島大学, 総合科学研究科, 教授 (70154789)

キーワードミャンマー / 人類学 / 民族 / 宗教 / 境界
研究概要

本研究は、代表者が1980年代より継続している多民族国家ミャンマー(旧ビルマ)とその周辺における文化と社会に関する人類学的研究の一部を成すものであり、その主目的は、既存の民族論に対する批判的評価を基盤に、ミャンマーの政治的脈絡において、「民族」の境界と「宗教」の境界との関係性について、現地資料を活用して考察を加えることにあった。
平成25年度は、国内外において、研究課題に関する資料蒐集、及び情報交換を実施した。全国民の九割近くを仏教徒が占める仏教国ミャンマーは、2013年にバプティスト布教開始200周年を迎え、その祝賀会が無事挙行された。キリスト教布教活動は、英領植民地時代に、ビルマ語英語辞典、シャン語英語辞典編纂という各民族の自画像に関する「知識」構築に、結果的に貢献してきた歴史を有する。その事実をひとつの要因として、シャン族キリスト教徒のような、民族的マイノリティでもあり、宗教的マイノリティでもある人々は、必ずしも孤立化してはいない。シャン族のマジョリティが、ビルマ族同様仏教徒であることも重要なのである。他方、イスラム教徒の場合は、いわゆる「ロヒンジャ問題」として国内外に報道されているように、仏教徒との関係が深刻化している事例もあり、「知識」構築の接点が希薄で、二つの境界が重なった場合の重大性が明らかになった。
研究代表者は、前年度に続き、全くの無償でヤンゴン大学客員教授を務め、同大学人類学科、及び大学院学生との学術交流にも努力した。さらにアジア世界を俯瞰した比較研究を進めるために、多民族国家中国内モンゴル自治区における多民族共生状況の参与観察、研究協力者松井生子氏のカンボジアへの派遣なども行った。
最終年度に際し、松井生子氏にも寄稿を求め、『「民族」・宗教・文化化ーミャンマー、カンボジアを事例にー』を作成し、今後の研究の深化のための基礎資料とした。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] シャン文化の行方2014

    • 著者名/発表者名
      高谷紀夫
    • 雑誌名

      「民族」・宗教・文化化-ミャンマー、カンボジアを事例にー

      巻: 1 ページ: 13-35

  • [雑誌論文] ミャンマーにおける「宗教」の知をめぐって2014

    • 著者名/発表者名
      高谷紀夫
    • 雑誌名

      「民族」・宗教・文化化-ミャンマー、カンボジアを事例にー

      巻: 1 ページ: 38-44

  • [学会発表] ミャンマーの文化政策2014

    • 著者名/発表者名
      高谷紀夫
    • 学会等名
      2014年度慶應義塾大学東アジア研究所講座「アジアの文化遺産-過去・現在・未来-」
    • 発表場所
      慶應義塾大学三田キャンパス
    • 年月日
      2014-04-30
  • [学会発表] シャン文化の行方2013

    • 著者名/発表者名
      高谷紀夫
    • 学会等名
      平成25年度国立民族学博物館共同研究会「「統制」と公共性の人類学的研究」
    • 発表場所
      東京外国語大学本郷サテライトキャンパス
    • 年月日
      2013-11-10
  • [学会発表] ミャンマーの「政治的観光」その後・・・

    • 著者名/発表者名
      高谷紀夫
    • 学会等名
      観光学術学会主催第1回研究集会(立命館大学人文科学研究所共催)
    • 発表場所
      立命館大学衣笠キャンパス
  • [図書] ミャンマーを知るための60章(高谷紀夫、国家と民族-多民族国家の構図と行方)2013

    • 著者名/発表者名
      田村克己・松田正彦(編)飯國有佳子、池田一人、伊野憲治、井上さゆり、岡野賢二、岡本郁子、奥平龍二、加藤昌彦、久保忠行、熊田直子、藏本龍介、小島敬裕、高谷紀夫、高橋昭雄、高橋ゆり、谷祐可子、土佐桂子、土橋泰子、中西嘉宏、ナンミャーケイカイン、根本敬、原田正美、兵頭千夏、水野明日香、南田みどり、藪司郎、渡辺佳成他
    • 総ページ数
      388 (250-253)
    • 出版者
      明石書店

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公開日: 2015-05-28  

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