現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究から、挨拶や呼びかけに使用する人称代名詞などは、世代を越えて広くタイタ語が使用されていることが分かっている。調査対象とする語彙を限定するために、すでに採録している語彙2000語の中から1000語を抽出し、これを内容により再分類し、語群に編成することに取り掛かった。Parts of the body, Clothing, Food and drink, House, Utensils and tools, Life, Kinship, Community, Locomotionなどの項目ごとに分類し、全体を500語ごとに二つの語群に分けた。平成23年度では、基礎語彙の再分類を中心に行ったため、特に新しく得た知見というものはないが、2000の既採録語彙を再度見直すことができたことは、ここ10年間の研究で不明であった点を明らかにするとともに、語彙間の類縁関係に基づき整理できたことは、今後の研究の展開に照らして有益であったと考えられる。期間と内容は、次のとおりである。平成23年4月~7月:タイタ語の基礎語彙の再分類をおこなった。再分類する際の項目立てが今後の研究内容に直接影響を及ぼすことになるが、今後も再調整しながら進めていくことになる。平成23年8月~9月(10日間):ケニアでの調査研究、現地調査協力者とともに調査対象とする語群と調査方法の確立、予備調査。渡航期間が予定していたよりも十分にとることができなかった。そのため、面接調査の時間が限られてしまったが、メールでのやり取りが可能であることから、不足分はメールを介してできる限り補完するようにした。平成23年10月~平成24年3月:予備調査結果の分析、AB語群内容の確定を目指していたが、まだ、若干の再調整の必要があるので、平成24年度の前半において所期の計画を完遂する考えである。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究の第2段階にあたる平成24年度の研究では、タイタ語の伝統語彙の世代間継承の実態を記録する。話者の性差、年齢差、地域性によりタイタ語の継承にどのような差異が生じているかに関し、伝統語彙のうちのA群を対象として記録していく。平成24年4月~7月:(1)A群前半の内容整理を行う。この間に、平成23年度において終える予定であった語群分類に関する調整を同時に行っていく。平成24年8月~9月:ケニアでの調査研究 タイタヒルズとナイロビで年齢層の異なるタイタ人各3名を対象に現地調査協力者とともに(1)A群前半の記録を行なう。そのために、ケニアでの現地調査を計画している。研究費の旅費をここに充当する。平成24年10月~平成25年2月:(1)A群前半のデータ分析、(2)A群後半の内容整理。この間は、現地調査に基づくデータ分析の期間になるが、適宜、メールでのやり取りを加えながら進めていく。平成25年3月:ケニアでの調査研究を行う。タイタヒルズとナイロビで年齢層の異なるタイタ人各3名を対象に現地調査協力者とともに(2)A群後半の記録を行なう。これが、平成24年度の2回目の現地調査となる。このように平成24年夏と、平成25年春の2回、ケニアでのフィールドワークを予定しており、直接経費の旅費(1,060,000円)、および、人件費・謝金(100,000円)をそれに充当させる。平成23年度からの繰越金(96,646円)は、平成24年度の旅費に充当する。その他、現地での出版物の購入など、日本では入手困難な資料の収集に研究費を使用していく予定である。また、資料は図書に限らず、広く物質文化全般に関して入手可能性を探っていきたい。日本に持ち帰ることの妥当性を検討する必要があるが、デジタル写真などのデータでの収集も視野に入れて、可能である項目に関しては視覚的データの収集に努めていくこととする。
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