研究課題/領域番号 |
23530040
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
植野 妙実子 中央大学, 理工学部, 教授 (20151821)
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キーワード | 国際研究者交流 / フランス / 憲法院 / コンセイユ・デタ |
研究概要 |
2012年度も、大学での研究科委員長という職務から、フランスでの調査は遂行できなかった。しかし、今年度は日本を訪れた二人のフランス人教授にインタビューをし、研究を深めることができた。また、研究成果の一部を反映した二本の論文をまとめることができた。 2012年9月20日アルカディア私学会館にて、オットー・フェルスマンOtto PHERSMANNパリ第一大学教授にインタビューした。2008年7月の第五共和制憲法改正により導入された憲法院による憲法裁判の事後審査制は、概ねうまくいっている。しかし、事前審査制と事後審査制の整合性はまだわからない。問題点などはいずれ近いうちに明らかになるだろうとのことであった。 2013年3月14日工学院大学にてドミニク・ルソーDominique ROUSSEAUパリ第一大学教授にインタビューした。彼は、事前審査と事後審査の双方が必要であるかについては、いずれ事後審査制だけが残ると考えていた。民主主義にとっては憲法裁判が重要な意味をもつ。議会制民主主義における多数決での決定はすべてを正当化しない。それを補完するのが憲法裁判である。このように憲法裁判の意義を強調した。 2013年2月16日東京大学で日仏法学会が開催されたが、岡山大学井上武史氏の報告は有益であった。彼は、事後審査制の導入によって法律解釈権をめぐって憲法院と破棄院とで争いのあることを報告していた。このことは憲法院への付託が限定されるかどうかに関わる大きな問題である。 2012年度においては、「フランスにおける法的安定性」(法学新報120巻1・2号印刷中)にまとめた。憲法院とコンセイユ・デタとの間で判断基準の一致がみられ、裁判の判断の統一性がフランスにおいてはかられていることを知った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大学における公共政策研究科委員長という激務のため、研究はやや遅れがちである。とりわけ、海外での訪問調査が進んでいない。しかし、来日した憲法関係の専門家にインタビューするなどして遅れている部分を補完している。
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今後の研究の推進方策 |
フランスにおける憲法院やコンセイユ・デタにおける訪問調査を進める。関連するフランスでの学会へ参加する。
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次年度の研究費の使用計画 |
2013年9月フランス・エクサンプロヴァンスでの国際憲法裁判学会への参加 2014年1月フランス・パリでの憲法院とコンセイユ・デタ等への訪問調査
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