研究課題/領域番号 |
23530040
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
植野 妙実子 中央大学, 理工学部, 教授 (20151821)
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キーワード | 憲法裁判 / 合憲性審査 / 憲法院 / 権力分立 / 人権保障 / 立法過程 |
研究概要 |
平成25年3月13日にドミニック・ルソー教授にインタヴューを行い(工学院大学),これでフランスの第一線で活躍している4人の教授にフランスの違憲審査の事前審査と事後審査における憲法院,コンセイユ・デタその他の裁判所との連携のあり方や協力の仕方についての話をうかがうことができた。この内容については平成26年1月までにまとめ,発表の予定である。平成25年6月日本比較法学会に出席。7月14日第14回慶應義塾大学フランス公法研究会に出席,発表もおこなった。11月27日明治大学での元欧州人権裁判所長であるジャン・ポール・コスタ氏の「地域的・国際的人権保障」の講演に出席。コスタ氏はコンセイユ・デタの評定官からの転身でもあり,1993年にコンセイユ・デタについての著作もある。さらに1月にパリ第一大学教授ベルトラン・マチューと連絡をとり,彼のフランスの違憲審査の事後審査についての本の翻訳を許可を得てはじめている。それによると,事後審査に関しては,まだ多くの解決すべき問題を抱えており,制度自体も大変複雑になっているということがわかった。平成26年3月6日慶應義塾大学フランス公法研究会及び3月14日駒沢大学でのフランスの憲法裁判についての研究会に出席したが,ここでも制度の複雑さが問題になっていた。事後審査の概要を把握しつつあるが,それぞれの裁判系列における裁判所間の,さらにはコンセイユ・デタと破毀院との間の,また憲法院とそれらの裁判所間の連携と協力をどのようにつくっているかを今後,具体的な事例を通して,みきわめていきたい。また,憲法院の判決には上訴は許されず,直ちに違憲とされた法律条文は廃止となる。これに対して,立法府がどのように反応しているのか,問題となる。現段階では,判決の効果として,一般的に研究者の論文が述べるところを,情報として収集している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
フランスの違憲審査制は,2008年7月の憲法改正まで上下両院で法律案が採択された後の,審署前に憲法院へ付託するという事前審査であったが,憲法改正で違憲の抗弁による事後審査が加わった。この事後審査の始動は実際は2010年3月からであり,ようやく施行後3年がたち,2013年には多くのこの事後審査に関する著作が出版された。それを読みこなして,定義や手続の概要を知るのに時間がかかっている。さらに,事前審査と事後審査の統一をはかるために,様々な問題も生じているが,多くは判例を通して行われている面もあり,それを理解するのにも時間がかかっている。また事後審査の評価も重要であり,それらを多くの本の翻訳を通して理解し,問題点の抽出につとめているところである。こうした基礎をしっかりと固めると同時に,裁判所間,また立法府と裁判所との連携,協力の問題も明らかにしていきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ベルトラン・マチューの事後審査制に関する「合憲性の優先問題」の著書の翻訳を進める。これにより,フランスで新しく始まった,憲法裁判の制度の全容を把握する。そしてフランスでどのように裁判所間の,また立法府と裁判所との連携,協力をはかっているかを明らかにする。9月には国際憲法裁判学会がフランスのエックサンプロバンスで開催される。そこでは,憲法裁判研究で有名であった,ルイ・ファボルー教授の没後10周年記念のシンポジウムが開かれるということなので出席して情報を得る。関係主要機関にもインタヴューするつもりである。それらをふまえて,論文として発表するつもりである。
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次年度の研究費の使用計画 |
2008年7月の憲法改正で違憲の抗弁による事後審査の憲法裁判が導入されたが,実際には2010年3月から始動したところであり,ようやくこの新しい審査についての著作も見られるようになった。また多くは判例によって具体的な問題の解決を示しており,それらがようやく出そろったところである。こうしたことから新しい審査の概要を把握するのに時間がかかっている。フランスでも最近,シンポジウムなどを通して新しい審査についての評価も出てきており,これらを踏まえて研究を完遂する必要があると考えた。 昨年発表された憲法裁判についての第一人者であるベルトラン・マチューの,新しい憲法裁判の事後審査制の本の翻訳を完了させる。その概要の把握をもとに,フランスでベルトラン・マチュウーや他の専門家,関係機関へインタヴューする。また関連するフランスでの学会へ出席して情報収集に努める。それらをもとに論文を仕上げる。情報収集のための関連図書の購入,フランスでのインタヴューや,学会出席のための渡航費,滞在費,論文を仕上げるための必要経費として使用する計画である。
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