本研究においては、民主制の下で社会集団間の暴力的対立を解決する条件を探ることを目的とした。手法として、宗教暴動、カースト間対立、階級対立の激しさで知られるインドのビハール州、グジャラート州、アーンドラ・プラデーシュ州の比較分析を行った。 その結果、次の三点が明らかになった。第一に、暴力的対立が起こる要因として社会・経済的格差の存在が重要であること、第二に、暴力的対立を克服するために、NGOなどの市民社会のアクターが重要な役割を担っていること、最後に、暴力の克服のためには、市民社会の活動に頼るばかりではなく、暴力的対立を防ぐための制度改革が必要であることである。
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