本研究は、集団防衛同盟の成立には、(1)対外脅威の存在だけでは十分ではなく、複数の主要同盟国による軍事貢献が必要であること、特に、欧州では仏、独、英、そしてアジアでは日本の軍事貢献が重要だったこと、さらに(2)同盟国が他の同盟国の脅威とならないよう同盟システム内に安全装置を設けること、特に欧州では西独の再軍備に対する保障措置が重要であったことを理論化し実証した。つまり、本研究は既存の同盟理論が同盟成立の一般的要件の分析に留まっていた点を深く追求し、集団防衛同盟成立の要件を明らかにし、同盟理論の発展に貢献した。また、アジアと欧州の同盟システムの国際比較分析を行ったことも特徴である。
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