この研究計画の目的は、日本において行われた市町村合併「平成の大合併」をめぐる意思決定過程において、地方政治家の私的利益追求行動が与えた影響を明らかにすることである。そのための理論的枠組みとして、多選首長の行動に関する理論モデルを構築し、(1)首長の選出回数と地方自治体の支出に関する仮説、および(2)市町村合併に際しての首長の行動仮説を導出した。全国すべての市町村データを用いてこの2つの仮説を計量経済学的手法により検証した結果、(1)首長が多選になるほど市町村の支出が増加すること、(2)首長が多選になるほど相対的に小規模の自治体との合併を行うこと、が明らかになった。仮説はデータと整合的である。
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