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2011 年度 実施状況報告書

ティックデータを用いた新規公開株の価格形成に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23530395
研究機関関西学院大学

研究代表者

岡村 秀夫  関西学院大学, 商学部, 教授 (70319606)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードIPO / 新規公開 / 新規株式公開 / 新規上場 / 価格形成
研究概要

本年度の研究結果から、一部の新規公開株が極めて過熱した形で価格形成がなされていること、ならびに日本の株式市場における価格形成面のアノマリー現象、すなわち下半期に比べて上半期の収益率が高い「半年効果(上半期効果)」が、新規公開株の価格形成にも影響を与えていることが明らかになった。 最初に、新規公開直後の価格形成について検討を行うために初期収益率の分析を行った。入札方式の期間(1993-1997年)においては、上半期13%(平均値)、下半期10%(平均値)程度であった。ブックビルディング方式(1997年以降)による新規公開株では上半期68%(平均値)、下半期46%(平均値)であった。入札方式とブックビルディング方式の比較では前者の初期収益率が低く、上半期と下半期の比較では上半期の初期収益率が高いことが明らかになった。 次いで、新規公開株の長期的な価格形成について分析を行った。入札方式の下では,平均値ではおおむねマイナス10%からマイナス20%程度,ベンチマークを下回る水準で低迷している。中央値ではパフォーマンスの低迷が顕著に表れており,IPO後急速にパフォーマンスが低下し,2年経過後はベンチマークに比べて40%余りも低い水準で推移している。 ブックビルディング方式導入後においては、一部の極めて過熱した新規公開株の影響を受けて、平均値では2年経過後には50%程度ベンチマークを上回る水準となっている。ただし,中央値でみると,IPO後1年程度でマイナス20%近くまでパフォーマンスが悪化し,その後も同水準で低迷する傾向が観察される。 本年度の研究結果から、新規公開株の過熱現象を回避・抑制するためのメカニズム、ならびに季節性の影響を考慮に入れた新規公開制度を検討することが必要性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画全体の効率的な実施を図るため、研究を遂行する中で各研究項目の実施順について見直しを行った。平成23年度においては、「研究の目的」に挙げた項目のうち、「長期収益率の計測を通じた公開価格ならびに初値の検証」を先行させて実施し、新規公開株の価格形成プロセスは、銘柄間で大きな差異があるだけでなく、季節性による影響も受けていることが明らかになった。 そのことによって、膨大なティックデータを分析する上で、焦点を絞りやすくなり、効率的に研究を実施することが可能になったと考えている。これらの点から、現在までの達成度としては、全体的にはおおむね順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

平成23年度の研究から得られた知見を活用して、平成24年度に優先的に分析を行う項目を検討している。具体的には、新規公開の実施時期により、半期別、四半期別、月別などの区分を行い、価格形成の分析を行う計画である。また、長期収益率が銘柄間で大きく異なっていることから、過熱傾向にある銘柄と低迷傾向にある銘柄を比較分析することによって、価格形成に影響を与える要因を明らかにしたいと考えている。 そのため、研究補助者による支援の拡充、国内外の学会参加等による情報収集の強化、処理性能の高いコンピュータの追加導入、ティックデータ可視化ツールの使用などを計画している。

次年度の研究費の使用計画

「現在までの達成度」で述べたように、平成23年度においては、「研究の目的」に挙げた項目のうち、「長期収益率の計測を通じた公開価格ならびに初値の検証」を先行させて実施した。そのため、比較的高額のティックデータ、ティックデータ可視化ツール、処理性能の高いコンピュータの導入が平成24年度に持ち越しとなっている。 平成24年度には、加えて、研究補助者による支援の拡充、国内外の学会参加等による情報収集の強化などについても研究費を使用する計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] ジャスダック新規公開株の長期パフォーマンスと「半年効果」2012

    • 著者名/発表者名
      岡村 秀夫
    • 雑誌名

      商学論究

      巻: 第59巻第4号 ページ: 55-71

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公開日: 2013-07-10  

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