戦間期の債券市場の発展を担った公社債業者の行動を山一証券を中心に明らかにした。山一証券は地方に支店を設けつつ,国債・地方債・金融債・事業債を地方の金融機関を中心に販売していった。とくに1920年代後半から1930年代前半にその業務は発展していった。こうした証券業者に証券資金を供給していたのは,都市銀行であった。都市銀行は金融危機のなかで預金の集中度を上げていったが,遊資が発生しており,債券を引き受けたり,その売り捌きを証券業者におこなわせたが,その資金を融資した。債券の利回りは国債が最も低く,満鉄などの特殊会社債や金融債がそれに次ぎ,事業債がもっとも高い傾向にあった。
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