研究課題/領域番号 |
23530646
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
古村 学 宇都宮大学, 国際学部, 講師 (10547003)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | エコツーリズム / 自然保護 / 世界自然遺産 / 社会学 / 西表島 / 小笠原諸島 / 西表島 / 離島 |
研究概要 |
本研究の目的は、世界自然遺産関連地域におけるエコツーリズムと地域住民とのかかわりを、日本の複数の地域から比較検討し、地域社会にとってより望ましい観光とはなにかを明らかにすることにある。本年度は、研究実施計画にある(1)「傾向と問題点の明確化」を暫定的に確定させ、(2)「現地調査」として東京都小笠原諸島および沖縄県西表島においてフィールドワークをおこなった。 (1)「傾向と問題点の明確化」では、日本の世界自然遺産地域におけるエコツーリズム研究をサーベイし、研究の傾向と問題点を明らかにし、暫定的なフィールドワークの方向性を明らかにした。既存の研究は、おおきく分けてエコツーリズム推進に寄与する政策的研究と、問題点を指摘する批判的研究に分けられる。これらの研究は、その方向性によりプラス面、マイナス面のどちらかを強調しており、地域社会の現状が一面的に描かれている傾向がある。そこで、本研究では、広く地域住民からの聞き取り調査をおこない、地域住民から見た世界自然遺産およびエコツーリズムの意味を明らかにする。 (2)「現地調査」では、2012年6月に世界自然遺産登録された小笠原諸島において、8月から9月にかけ一ヶ月間のフィールドワークをおこなった。聞き取り調査、エコツアーへの参与観察、文献資料収集などをとおして、登録に向けておよび登録後の小笠原社会および人々の変化についてのデータを収集した。3月には世界自然遺産登録に向けて動き出し始めた西表島において3週間のフィールドワークをおこなった。登録に向けての行政機関の動きについて聞き取り調査および文献収集、地域住民からの聞き取り調査、ツアーへの参与観察などによって、登録に向けた動向にかかわるデータを収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の達成目標はおおきく分けて二つある。(1)「傾向と問題点の明確化」の暫定的な確定、および(2)「現地調査」への着手である。どちらの目標も十分に達成できた。 (1)「傾向と問題点の明確化」にかんしては、順調に進展しており、暫定的な調査の方向性が確定している。4月には所属学部の研究会「学問の倫理と方法研究会」において、6月には栃木県内の産学官民組織「とちぎ観光資源活用研究会」において、平成24年2月には共同主催する「観光とメディア研究会」において成果報告を行っており、そこでの反応および助言をもとに内容を深化させてきた。平成23年度には間に合わなかったが、関連する成果物が平成24年5月に出版予定である。 (2)「現地調査」の着手であるが、小笠原諸島での調査は、世界自然遺産登録から2か月後ということで、多くの人々の関心が高いいため、聞き取りなどのデータ収集に予想以上の成果が上がった。西表島での調査であるが、世界自然遺産登録へは始動したばかりということもあり、小笠原ほどにはデータが集まらなかった。ただし、今後は急速に世界自然遺産へと向けた動きが進むことが予想され、次回の調査時の変化をみるという点で、大変有益なデータが収集でき、十分な調査をおこなうことができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、進める予定である。 8月もしくは9月に知床においてフィールドワークを行い、本研究における一度目の「現地調査」を終える。その後は、これら三か所の地点で行った一度目の「現地調査」で収集したデータをもとに、「暫定的な比較検討・理論化」をおこない、学会や研究会で「中間発表」として成果発表する予定である。 この「中間発表」による反応や助言により研究を深化させ、2月もしくは3月には小笠原諸島でも「中間発表」をおこない、研究成果のフィードバックをおこなうとともに、地域住民からの反応や助言をえたいと考えている。そのうえで、小笠原諸島にて2度目のフィールドワークをおこなう予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
(1)ひきつづき世界自然遺産関連地域でのフィールドワークを実施する。具体的には8月もしくは9月に知床において聞き取り調査を中心としたデータ収集をおこなう。さらに2月もしくは3月には小笠原諸島において、研究成果の「中間発表」をおこない、そのうえでデータ収集をおこなう。これらの調査に必要な費用を計上する。(→旅費・物品費・その他) (2)フィールド調査以外の期間は、「暫定的な比較検討・理論化」をおこなう。ひきつづき既存研究の整理・分析を進めるとともに、フィールド先で収集したデータの整理・分析を進める。このために必要な資料調達費等を計上する。(→物品費・その他) (3)学会や研究会において、研究成果の「中間発表」をおこなう。「暫定的な比較検討・理論化」の成果報告を「中間発表」としておこない、研究成果を広く知ってもらうとともに、フィードバックをえることにより、研究を発展させる。このための旅費等を計上する。(→旅費・その他)
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