本研究の目的は、世界自然遺産にかかわる複数地域の比較から、エコツーリズムと地域住民とのかかわりを比較検討することにより、地域社会にとってより望ましい観光とは何かを明らかにすることにある。 研究期間全体を通じて明らかになったことは、第一に、日常生活における自然とのかかわりの地域ごとの多様性、自然観の多様性であり、地域ごとの社会内部でみられる共通性である。これらが、エコツーリズムへの態度を決定づけている。第二に外部からもたらされた攪乱要因として、世界自然遺産をマイナスにとらえる共通性がある。現在の政策は、地域ごとのローカルな自然観を考慮していないため、地域社会から乖離しているのが現状である。
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