2015年3月中旬から2週間の日程でカナダを訪問し、バンクーバー、トロント、オタワ、ウィニペグの主要各市で、フィリピン人を中心とする看護師・介護士(リブイン・ケアギバー)移民の受け入れ実態、彼らの抱える問題、中央政府と州政府の政策やプログラムについて現地調査を実施した。調査にあたっては、連邦政府の市民権・移民省、マニトバ州の労働・移民省、マニトバ・フィリピン人看護師協会、マニトバ看護師組合、在オタワ・フィリピン大使館、在バンクーバー・フィリピン海外労働事務所、ケアギバー・アクション・センター(トロント)ほかのNGO、トロント大学の教員などの協力を得た。 この調査は、移民看護師・介護士の集住都市におけるキー・インフォーマントからの聴き取りのほか、ケアギバー・アクション・センター、マニトバ・フィリピン人看護師協会、マルチカルチュラル・ヘルピング・ハウスの協力を得て、会員・メンバーらを対象とした配布票調査も実施した。ここでは、2014年のリブイン(住み込み)ケアギバー・プログラムの政策変更などについての移民介護士の意識、連邦政府やマニトバ州政府などの移民看護師受け入れ政策への注文などについて調べることができた。 このほか、研究協力者のマリオ・ロペス・京都大学東南アジア研究所准教授を所属先の大学に招き、前年度の欧州における共同調査のデータの整理、成果発表などについて打ち合わせをした。
研究成果は、2014年度、2本の英語論文(うち1本はまもなく出版)にしたほか、仙台市、横浜市、台湾・台北でそれぞれ開催の三つの学会で、英語や日本語で発表した。
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