本研究は、ストーリーの社会学の観点から、統合失調症や気分障害といった重篤な精神障害がある人々による「病いの体験」を語るという実践が、地域社会に相互支援的なサポートネットワークを展開させていく可能性について明らかにするため行われた。静岡県浜松市にある精神科クリニックのセルフヘルプ活動のためのスペース「虹の家」での精神障害者の諸経験に関し行なわれた質的調査の結果からいくつかの知見を示した。この活動の場が、支援的なコミュニケーションの機会を提供しており、重篤な精神障害がある人々が彼ら自身の物語を共有し、ピアやその他の社会関係の中にサポートを見いだすことを可能にしていることなどが明らかとなった。
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