研究課題/領域番号 |
23530725
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
衣笠 一茂 大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (50321279)
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キーワード | コミュニティ・エンパワメント / 地域福祉 / 小規模集落 / 住民参加 / 効果測定 / 実践の科学化 / コミュニティ・ソーシャルワーク / アセスメント |
研究概要 |
平成24年度においては、小規模集落におけるコミュニティ・エンパワメントの対象地域となった大分県宇佐市院内地区、大分県豊後高田市玉津地区、大分県速見郡日出町南浜地区の3つに地区において、コミュニティ・アセスメントを行った。 基本的に地域住民全数に対して、経済的側面、心身健康的側面、社会関係的側面の三つの側面からのアンケート調査と面接聞き取り調査を実施し、対象地域の住民が置かれている生活課題と、生活実態を評価する調査研究を行った。そのうえで、調査結果を各地域の住民に住民懇談会の手法を持って公表し、そこから地域住民自身がどのような問題解決の可能性を持っているか、それをブレーン・ストーミングの方法を用いて、地域課題の抽出とその解決に向けたコミュニティ・プランニングを行うところまでを平成24年度では実施した。 その結果、地域住民が望んでいるのは、いわゆる落下傘型や行政主導型の地域づくりではなく、住民相互の活動による「自前のコミュニティ形成」であることが明らかになった。平成25年度は、このコミュニティ・プランニングに基づいて、地域住民自身が実際に地域の問題解決に向けて活動できるような、コミュニティ・アクションを展開してゆきたいと考えている。また、そのアクションの結果を評価することにより、一連のコミュニティ・エンパワメント・スキームの効果測定を行うことを予定している。 なお、もう一つ本研究の実施対象地域であった、大分県中津市山国地区は、九州北部豪雨災害のため大きな被害を被り、残念ながら研究スキームの実施ができなかった。このことが、平成24年度の予算を全額消化できなかった最大の理由である。現地は徐々に復興しつつあり、その復興のプロセスも踏まえて、平成25年度に4地区のコミュニティ・エンパワメント・スキームの実施とその効果測定を行いたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「やや遅れている」と評価したのは、先にも述べたように九州北部豪雨災害によって、調査対象地域が大きな被害を被り、予定していた調査ができなかったためである。しかし現地は徐々に復興しつつあり、平成25年度の調査実施に向けて現在現地と調整中である。そのほかの対象地域となった宇佐市院内町、豊後高田市玉津地区、速見郡日出町南浜地区については、当初の計画通り順調に研究は推移している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度においては、平成24年度に実施した宇佐市院内地区、豊後大野市玉津地区、速見郡日出町南浜地区のコミュニティ・エンパワメントの効果を評価する評価研究を行うとともに、災害によって遅れていた中津市山国地区のコミュニティ・エンパワメント・スキームの展開を実施する。これら四地区のコミュニティ・エンパワメントの実践とその効果、また評価結果を研究報告書としてまとめ、年度終了までに刊行することを目的とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の使用については、コミュニティ・エンパワメント・スキームの評価に必要なアンケート及び聞き取り調査の実施費用、また災害により遅れている中津市山国地区のコミュニティ・アセスメントの調査研究実施費用、及び研究結果を集約した研究報告書の発刊費用が含まれる。また、平成25年5月に、韓国・大邱大学において、韓国地域福祉学会長朴泰英教授から今回の研究の助言指導を受ける計画を立てており、研究補助者とともに渡韓する費用も研究費の中に含まれる。
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