小規模集落における地域力を引き出すコミュニティ・エンパワメント・スキームの構築のため、大分県中津市山国地区、同県宇佐市院内地区、同県日出町南浜地区、同県豊後高田市玉津地区において、地域アセスメント、地域プランニング、地域アクションのそれぞれのステップを住民参加型のスキームに基づいて行い、その効果について実証的な検討を行った。その結果、とくに山国地区においては「たいしょう陣」と呼ばれる住民参加型のサロン活動が継続的に実施され、また南浜地区では「南浜停留所」と呼ばれる住民の寄り合いの場が形成されるなど、住民の関係性を活性化する地域力を引き出すことに一定成功したと考えている。 また、豊後高田市玉津地区では、地域のリーダーシップをとる寺院の住職が、自らの寺の境内を開放して住民の「集いの場」をもうける試みを始めたり、宇佐市院内地区では億集落ごとに「地域住民の集い」を開催してKJ法に基づくブレーンストーミングを実施し、地域住民が自らの地域作りに対して主体的に関わるための動機作りを形成するなど、各地区において「住民参加型のコミュニティ・エンパワメント・スキーム」に基づく地域アセスメント、地域プランニング、地域アクションを展開することによって、住民の「主体性」を引き出すことに一定成功するコミュニティ・エンパワメントの展開のための実践モデルの構築に一定成功することができたと考えている。今後の課題として、このスキームがどのような効果を上げることができたのか、を実証的に研修する、「評価研究」の必要性と可能性が残されていると考える。
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