本研究の目的は、欧米で30年以上実践されてきた回想法の一種「ガイデッド・オートバイオグラフィー(GAB)」日本版の効果測定と開発である。調査に参加した高齢者は兵庫県の11名と福島県の8名であった。兵庫県では計10回のGABを、福島では語りによる一度の回想を実施した。反復測定分散分析の結果、どちらのグループにおいても参加前後のウェルビーング、エリクソン心理発達課題達成度、生活満足度、PTSDの実態に有意差はみられなかった。質的データからはGABによる非時系列的な回想は有意義なアプローチと捉えられ、参加を通してお互いの違いを認め合い、同志として支え合うかけがえのない仲間と成り得ることが示唆された。
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