研究課題/領域番号 |
23530848
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
高濱 裕子 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (10248734)
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研究分担者 |
北村 琴美 大阪人間科学大学, 人間科学部, 准教授 (80411718)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 世代性 / 三世代 / 歩行開始期 / 思春期 |
研究概要 |
本研究の目的は、子どもの心身の発達的変化が顕著な時期(歩行開始期・思春期)に焦点を当て、世代性概念を用いて親-子関係、親(子)-祖父母(親)関係、祖父母-孫(親の子)関係を包括的に検討する。その際、三世代それぞれの健康状態、人格的成熟度、自律性の発達、そして三者の関係をとらえるために4点の目的を設定した。(1)歩行開始期及び思春期の子どもをもつ親の感情体験とそれへの対処様式を明らかにする。(2)子どもの自律性の発達に影響を与えると予想される親と祖父母との関係を検討する。(3)親世代と祖父母世代における世代性の特徴、共通性あるいは差異性を抽出する。(4)社会資源の観点から、親の需要と祖父母による供給、あるいは祖父母の需要と親による供給との関係を検討し、類型化を試みる。平成23年度は、歩行開始期の親データ、子どもデータ、祖父母データの収集を、関東地区(文京区、松戸市の合計2地域)と関西地区(豊中市、東大阪市、摂津市、茨木市の合計4地域)で行った。対象者のリクルートはポリオの予防接種会場、歯科検診会場、保育所などを通して行われた。データ収集期間は9月から12月までであった。親データが690名分(回収率34.5%)、親を通して紹介された祖父母データが204名分(回収率76.7%)返送された。なお、子どもデータは親データに含まれる。データ入力と平成24年度9月に開催される日本心理学会でのポスター発表を目指して分析を進行させている。また第3年次の研究計画の中心をなす祖父母世代への面接調査に応じると回答した人数は、87名であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
親と祖父母のマッチングデータ(ペアデータ)を収集することは、従来あまり行われていなかった。個人情報やプライバシーも絡むことであり、調査を慎重に進める必要があった。その手続きや説明に時間をかけたため当初の予定よりは若干遅れたが、ほぼ順調に進行した。また親データと祖父母データ間の齟齬を極力抑制するために、データクリーニングを丁寧に行った。その結果、分析にはいる時期が年度末にずれ込んだ。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、思春期の子どもとその親そして祖父母データを収集すること、学会発表(日本心理学会・日本発達心理学会)をすることが大きな研究の課題となる。思春期の子どもデータ、親データ、祖父母データを、関東地区と関西地区で収集する。関東地区、関西地区とも、中学1年生と2年生のデータを合計2,000名分収集する予定である。さらに中学生を通して、その親と祖父母のデータを収集する。回収率は約30%を見込んでいる。これらのデータは文字通り三世代のマッチングデータであり、貴重な資料となるであろう。親と祖父母の調査では、子どもの年齢に依存した変数以外は歩行開始期の調査と基本的に共通の測定変数を使う。さらに祖父母世代で面接調査に協力してくださる対象者を募集する。学会発表は、まず平成24年9月に開催される日本心理学会において合計4件の研究発表を行う(既に登録済み)。これらは、平成23年度に回収した歩行開始期の親、子、祖父母データの分析結果にもとづいた発表である。次に年度末の3月に開催される日本発達心理学会において、合計4件~5件の研究発表、及びシンポジウム(あるいはラウンドテーブル)を企画している。そのためにはデータ入力を短期間で終え、速やかに分析に取りかかる必要がある。したがってデータ入力は専門の業者に依頼する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費:調査票封入用封筒(プロジェクト名入り)、宛名ラベル、上質紙、文房具・・・合計127,709円旅費等:日本心理学会参加費(東京)2泊3日2名分、日本発達心理学会参加費(東京)2泊3日2名分・・・合計240,000円人件費・謝金:研究補助(大阪1名を5か月間雇用)、研究補助(東京2名を5か月間雇用)、研究補助(博士後期課程大学院生、東京1名を5か月間雇用)・・・合計555,000円その他:調査票作成・製本(中学生用、親用、祖父母用合計5000部)、データ入力(外注)、通信費(調査票返送用)、学会シンポジウム企画料・・・合計1,110,000円
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