園田・丸野(2011)が考案した重さの系列化課題を用い,ADHD傾向をもつ成人の不注意傾向と遂行方略の関連を検討した。この課題は対の比較を2回ないし3回行うことが必要である。「不注意」・「体調不良」・「対人関係の苦手さ」の得点が高く,ADHD傾向および日常生活における不適応傾向をもつ人は,仮説通り,逆向的注意配分の不足をあらわす「比較1回」方略を使用することがわかった。また,仮説していなかった知見として,衝動性から生じる順向的注意配分の不足をあらわす「比較0」方略による誤りも多くみられた。さらに,誤りにはつながらないが,段取り不足を補う「比較4回以上」方略も不足した注意を補いながら遂行する方略であり,日常生活における不注意・不適応と強く関連することが見出された。
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