研究課題/領域番号 |
23540010
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
野村 明人 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (00313700)
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研究分担者 |
伊藤 達郎 金沢大学, 数物科学系, 教授 (90015909)
平林 幹人 金沢工業大学, 基礎教育部, 教授 (20167612)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ガロアの逆問題 / 類体塔 / 不分岐拡大 / 類数 |
研究概要 |
本研究の目的は,分岐を制限したガロアの逆問題「代数体kと有限群Gが与えられたとき,不分岐ガロア拡大L/kでそのガロア群がGと同型なものが存在するか?」を考察し,その応用として代数体kの最大不分岐p拡大のガロア群の構造を調べることである。本年度は,有理数体Qの素数次巡回拡大体kのイデアル類群の構造およびk上の不分岐非アーベルp拡大の存在と非存在についての研究を行った。 pを奇素数とする。E1とE2は位数がpの3乗の非アーベルp群で,E1の群指数がpでE2の群指数がpの2乗であるとする。また,qは奇素数でp+1の約数であるとする。このとき,得られた主な結果は次のように述べることができる。(1) kの類数がpで割り切れるならば,不分岐ガロア拡大L/kでガロア群G(L/k)がE1と同型なものが存在する。(2) 不分岐ガロア拡大L/kでG(L/k)がE2と同型でL/Qがガロア拡大となるものは存在しない。(3) L/kが不分岐ガロア拡大でG(L/k)がE2と同型ならばLの類数はpで割り切れる。 ここで重要な役割を果たしたのは,分岐を制限した代数体の埋め込み問題の理論と群論的な考察である。特に(2)は,群E2の自己同型群の位数を調べることにより得られた。純粋な群論的な考察から,ある種の不分岐非アーベル拡大の非存在が導かれることは非常に興味深い。これらの結果は,平成23年11月25日に北陸数論セミナーで発表された。今後,論文にまとめ投稿する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ある種の不分岐非アーベル拡大の存在・非存在について結果を得ることができた。この結果は,イデアル類群の構造とも密接に関係しており,さらなる一般化も期待できる。当初予定していた中心拡大でない場合の埋め込み問題の理論については十分な結果が得られたとは言えないが,総合的に判断するとおおむね順調と言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の方策は,p群の構造解析と埋め込み問題の分岐理論の精密化を行い,最大不分岐p拡大のガロア群の構造を調べることである。具体的には,以下のとおりである。(1) 一般のp群の自己同型群を考察し,その応用としてある種の不分岐非アーベル拡大の存在・非存在について考察する。(これは平成23年度の結果の拡張である)(2) アーベル体の類体塔について考察する。先ず,最大不分岐p拡大のガロア群が非アーベルとなるための十分条件を決定する。(3) 中心拡大でない場合の埋め込み問題の分岐理論を考察し,その応用として2次体の最大不分岐p拡大のガロア群の構造を研究する。(4) Fontaine-Mazur予想について考察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は,計算機が予定より安価で購入できたことと,金沢で予定していた研究打ち合わせを日本数学会の際に行えたことにより研究費が少し余りました。この残額は,次年度に有効活用し,以下のように使用したいと考えています。性能の良い計算機や図書のための物品費として約50万円,研究打ち合わせのための旅費として約40万円,研究補助等の謝金として約8万円,研究課題に関する小研究集会の会場費用や印刷費用のために約20万円の使用を予定しています。
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