研究課題/領域番号 |
23540010
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
野村 明人 金沢大学, 機械工学系, 教授 (00313700)
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研究分担者 |
伊藤 達郎 金沢大学, 数物科学系, 教授 (90015909)
平林 幹人 金沢工業大学, 基礎教育部, 教授 (20167612)
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キーワード | ガロアの逆問題 / 不分岐拡大 / 類数 / イデアル類群 |
研究概要 |
本研究の目的は,分岐を制限したガロアの逆問題「代数体kと有限群Gが与えられたとき,不分岐ガロア拡大L/kでそのガロア群がGと同型なものが存在するか?」を考察し,その応用として代数体kの最大不分岐p拡大のガロア群の構造解析を行うことである. 今年度は,前年度に引き続き,有理数体Qのq次巡回拡大体kのイデアル類群の構造およびk上の不分岐非アーベルp拡大の存在と非存在についての研究を行った.pを奇素数とする.E1とE2は位数がpの3乗の非アーベルp群で,E1の群指数がpでE2の群指数がpの2乗であるとする.前年度は,qが奇素数でp+1の約数である場合を考察し,得られた結果は現在投稿中である.今年度は,qが奇素数でp-1の約数である場合について考察した.このケースでは,前年度の場合より状況が複雑で,kのイデアル類群へのガロア群G(k/Q)の作用の様子が重要な鍵となることがわかった.得られた主な結果は次のように述べることができる. 1.不分岐ガロア拡大L/kでガロア群G(L/k)がE1と同型なものが存在するための十分条件を得た.この条件は,kのイデアル類群のp-partへのガロア群G(k/Q)の作用の条件として記述できる. 2.q=3の場合に,不分岐 p次巡回拡大F/kで F/Qがガロアでないものが存在すれば,不分岐ガロア拡大L/kでガロア群G(L/k)がE1と同型なものが存在することを示した. これらの結果は,論文にまとめ発表する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
有理数体Qの巡回拡大体上のガロアの逆問題を考察し,ある種のp群に対して不分岐解を持つための条件を得ることができた.平成23年度は,埋め込み問題の理論と純粋な群論的な考察で結果が得られたのに対し,平成24年度は,イデアル類群へのガロア群の作用も考慮して結果が得られた.また,この考察の中で,ガロアの逆問題の不分岐解の存在は単項化問題(Principal ideal problem)とも関係があると推察された.この単項化問題との関係及び中心拡大でない場合の埋め込み問題の理論の確立については,次年度の課題とする. 計画通りに進んでいない部分もあるが,総合的に判断すると概ね順調と言える.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の方策は,p群の構造解析と埋め込み問題の分岐理論の精密化を行い,最大不分岐p拡大のガロア群の構造を調べることである.具体的には,以下のとおりである. 1.一般のp群の自己同型群を考察し,その応用としてある種の不分岐非アーベル拡大の存在・非存在について考察する。(これは平成23年度と平成24年度の結果の拡張である) 2.最大不分岐p拡大のガロア群が非アーベルとなるための十分条件を単項化問題との関係で考察する.特に,有理数体の(2,2)拡大について,吉田氏の結果の拡張を行う. 3.中心拡大でない場合の埋め込み問題の分岐理論を考察し,代数体の最大不分岐p拡大のガロア群の構造を研究するための手法を探る.
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は,金沢で予定していた研究打ち合わせを日本数学会や京都でのシンポジウムの際に行えたことにより研究費が効率的に使用でき,その結果として,少し余りました.この残額は,次年度に有効活用し,以下のように使用したいと考えています. 性能の良い計算機や図書のための物品費として約40万円,研究発表と研究打ち合わせ及び総括のための旅費として約50万円,研究補助等の謝金として約10万円,研究課題に関する小研究集会の会場費用や印刷費用のために約20万円の使用を予定しています.
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