モジュラー群の合同部分群に対するアイゼンシュタイン級数の量子エルゴード性のレベル・アスペクトは,これまで有理整数環上(標数0の場合)でのみ証明されていたが,本研究ではこれを有限体上の一変数多項式環上(標数正の場合)に拡張した. 証明の鍵となるL関数の評価については,ラフォーグによって2002年に証明されたリーマン予想類似と,コンリーとゴーシュによって2006年に証明された定理「リーマン予想類似が成り立つゼータ関数は,セルバーグ類に属する限りにおいてリンデレーフ予想を満たす」を組合せることにより解決した.レベルアスペクトを考えることにより,標数正の量子エルゴード性に意味を与えた点は新しい.
|