シェイプ理論は,局所的に複雑な空間を対象とするホモトピー論として知られている.フラクタルは,距離空間と呼ばれる「距離」の概念をもつ図形の一種で,とくに局所的に複雑な性質をもつものとして知られている.本研究では,シェイプ理論を使って,フラクタルさらには一般的な距離空間のもつ幾何学的な性質を明らかにすることを目標に,カテゴリ的な手法を含め,いくつかの視点から研究を行った.とくに,シェイプ理論における重要な手法である逆システム,あるいは位相空間論における normal sequence と呼ばれる概念は,距離の概念を統合的に扱うのに,有効なもであることを明らかにした.
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