研究課題/領域番号 |
23540091
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
内藤 博夫 山口大学, 理工学研究科, 教授 (10127772)
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研究分担者 |
中内 伸光 山口大学, 理工学研究科, 教授 (50180237)
鍛冶 静雄 山口大学, 理工学研究科, 講師 (00509656)
川上 裕 山口大学, 理工学研究科, 講師 (60532356)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 幾何学 |
研究概要 |
本研究課題では,グラスマン幾何の観点から,「対称空間における曲面論が,対称空間の持つ等質性にどのように影響されるかを明らかにし,その結果として,従来の定曲率空間の曲面論と対称空間論の融合を目指す」ことを研究の目的としている。また,研究方法を「第一段階:グラスマン幾何的曲面論の形式的分類」,「第二段階:実質的なグラスマン幾何的曲面論の決定」,「第三段階:グラスマン幾何的観点に照らした,対称空間における典型的曲面の存在状況の解明」に分けて考察する研究計画を立てている。 平成23年度は,本研究課題に関連するこれまでの研究の整理及び本研究課題遂行のための各種知見の情報収集を行いながら,第一段階の研究に着手し本研究課題の方向性を見定めることに主眼を置いた。そのため,研究代表者が組織委員として「第58回幾何学シンポジウム」(開催地:山口大学)に参画したのを始め,各研究分担者は各種研究集会へ参加し,それぞれの専門分野から情報収集を行った。 平成23年度では,関連研究の整理として,研究代表者が学術論文「複素射影空間のφ-不変性を持つ実超曲面の決定」を発表した。この論文は,ケーラー多様体の奇数次元版ともいえる複素射影空間の実超曲面において,その構造テンソルφに関して型写像が不変になる超曲面を特徴付けたものである。また,研究分担者中内は,極小部分多様体の特徴付けの1つである B.Y.Chen 予想の部分的解決を与えた。これらの成果は,本研究課題の本質的な部分に係る成果ではないが,研究遂行上の知見を拡げるものといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究年度初年における研究情報の収集という観点では,おおむね満足できる成果が得られたと思うが,第一段階の研究課題の方向性を見定めるという観点では,総論的な方向性は得られたが各論には踏み込めず,この時点において,本研究課題の本質的な部分に関して成果を纏めるという状況まで達しなかったことが上記評価の理由である。
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今後の研究の推進方策 |
研究目的に対する平成23年度末時点での達成状況を検証すると,第一段階での研究遂行で各論に踏み込めなかったのは,第二段階の研究内容が第一段階の研究にも深く関わっていたことが要因と考えられる。従って,平成24年度の研究遂行においては,研究計画の第一段階と第二段階の研究テーマを総合的に考察する方針で臨みたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究費の使用計画は,平成23年度に引き続き,各種研究会等への参加を通じて,研究情報の収集及び関連研究者との意見交換を活発に進めて行きたい。また,平成23年度執行予定の一部経費を繰り越すことになったのは,必要物品(プリンタートナー等の文具)の消耗が想定以上に少なく既設備のままで間に合ったこと及び業務日程の都合で一部参加予定の研究会に参加できなかったことが主な原因である。平成24年度では,この繰越経費を主に必要物品(プリンタートナー等の文具)の購入に当て,当初計画の24年度経費は主に研究会参加のための旅費に当てる計画である。
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