研究課題/領域番号 |
23540091
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
内藤 博夫 山口大学, 理工学研究科, 教授 (10127772)
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研究分担者 |
中内 伸光 山口大学, 理工学研究科, 教授 (50180237)
鍛冶 静雄 山口大学, 理工学研究科, 講師 (00509656)
川上 裕 山口大学, 理工学研究科, 講師 (60532356)
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キーワード | 微分幾何学 / 曲面論 / 対称空間 |
研究概要 |
本研究課題では,グラスマン幾何の観点から,「対称空間における曲面論が,対称空間の持つ等質性にどのように影響されるかを明らかにし,その結果として,従来の定曲率空間の曲面論と対称空間論の融合を目指す」ことを研究の目的としている。また,研究方法を「第一段階:グラスマン幾何的曲面論の形式的分類」,「第二段階:実質的なグラスマン幾何的曲面論の決定」,「第三段階:グラスマン幾何的観点に照らした,対称空間における典型的曲面の存在状況の解明」に分けて考察する研究計画を立てている。 平成23年度は,本研究課題に関連するこれまでの研究の整理を行い,第一段階の研究に着手し本研究課題の方向性を探求することに主眼を置いた。引き続き,平成24年度は,第二段階の研究に着手し,関連する一階偏微分方程式の存在理論をコホモロジー理論のスキームを導入することを目指したが,適切な理論構成には至らなかった。 そこで,平成25年度は,研究代表者が各種研究集会に参加し情報収集するとともに,曲面論に関する最新の情報を通して,本研究に係る課題を再検証することを目的に,山口幾何学研究集会2013「進展する曲面論」(開催日:2013年12月26,27日,開催場所:山口大学,講演数:5,参加者数:約50)を開催した。これら収集された知見を踏まえた,本研究課題に係る総合的な検証は今後の課題として残るが,平成25年度の研究実績として挙げられるものは,上記研究集会の開催の他,研究分担者による関連分野における研究の進展がある。研究分担者中内は,極小曲面論と関連深い等角写像に関連する研究を進化させ,また,研究分担者川上は,3次元双曲型空間の平坦曲面の研究を進展させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究分担者が,その関連研究分野において,研究の進展をみたという点及び研究集会の開催などを通じて研究情報の収集に注力できたという点においては,おおむね満足できると考えているが,これら情報の総合的な分析が課題として残ったため,第二及び第三段階の研究に対する問題解決の道筋がアイディアの域を出ず,明確な確証にまで至っていない現状がある。これらの状況を総合的に勘案して,上記評価に至った。
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今後の研究の推進方策 |
前年度未実施の情報分析を始め,更なる情報収集や関連研究者たちとの意見交換を積極的に進めるとともに,第二及び第三段階の研究に対するアイディアの具現化を進め,本研究課題に係る成果として集約する方針で臨みたい。また,これまでと同様に,研究分担者の関連分野における研究も,引き続き継続して,その進展を推進したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた設備備品費や消耗品費等の一部が当該年度中には必要がなくなったため,40万円程度の未使用額が発生した。 平成26年度は,研究分担者(川上)の転出に伴って,新たな研究分担者(近藤)の追加を予定している。研究体制の補強を目的に,平成25年度の繰越費用を追加研究分担者の位相と曲率の視点からの研究のための経費として充当する。また,平成26年度予算として当初予定されている80万円は,国内外研究者たちとの情報交換を引き続き行うために,主に,招聘や派遣のための旅費として使用する計画である。
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