研究課題/領域番号 |
23540107
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
志摩 亜希子 東海大学, 理学部, 准教授 (50317765)
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キーワード | トポロジー / 曲面結び目 |
研究概要 |
鎌田氏によって、4次元空間に埋め込まれた曲面を研究するために、平面上のラベルと向きが付けられたグラブで表現する手法、chart が定義された。頂点は次数1,4,6の3種類あり、次数4の頂点を crossing という。この研究の目標は chart を使って曲面結び目を分類することである。 crossing が3個以下の chart はある程度調べられている。 crossing が4個の chart を研究するにあたって、今回は辺のラベルが1,2,3のどれかである 4-chart について調べた。 2012年度にグラフに条件付き(linear chart という条件)で、4-chart について調べたが、その条件は不要であることを示した。つまり『4-chart で、chart が表す曲面が球面達からなるならば、 4-minimal chart でないこと』を示した。従って、chart の表す曲面を変えないような chart の変形、C-move で、crossing が3個以下の chart に変形できることを示した。k-minimal の詳しい定義は述べないが、chart の複雑さと呼ばれるものが一番小さい chart である。 今回の研究では、crossing が4個の chart は crossing が3個の chart に比べ、数倍複雑てあることが分かった。また次に crossing が4個の 5-chart を研究しようと思うが、ここから知られていない曲面結び目が発見されることを期待する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この研究目標は大きなものとして、chart を使って曲面結び目を分類することを上げた。そのために3つの目標を上げた。その内の1つである『minimal n-chart で4つの crossing を含むものについて調べる』ことについて去年に引き続き、今回も研究した。 当初の目標ではラベルが何種類もある n-chart について何らかの結果が得られると思ったが、4-chart でも複雑な種類があることが分かった。結果をみると進んでいないようであるが、今回は対象にしていた 4-chart のすべてが調べ上げられ、おおむね順調に進んだと思われる。 更に4つの crossing を含む chartが複雑であることも分かった。その複雑な chart を上手く場合分けすることによって、調べられる形に分けることが出来た。ここでの画期的な手法は、大まかにグラフを捉える方法を考えたことである。 また知られていない曲面結び目がありそうだという感触も得た。次の 5-chart では、豊富な未知の曲面結び目が発見されるかもしれないという嬉しい予想も考えられる。chart を用いた曲面結び目の分類表作成の目標に向って一歩づつであるが、進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は更に詳しく4つの crossing を含む 5-chart について調べたい。このためにはまず crossing に関して、どのようなラベルの条件があるか調べる。 この chart は以前の chart に比べ、ラベルの種類が1つ増えるので、目を付ける所が違うかもしれない。そこで、次のような tangle (D∩Γ, D) について調べる。(1) 円板 D の境界と交わる辺は横断的に交わり、crossing は含まない。(2) 円板 D 内の辺のラベルが1、2,3のいずれかである。(3) 円板 D の境界と交わるラベル1の辺の数が2,3である。ラベルの種類が増えることで、以前とは違う複雑さが現れるのではないかと思う。 様々な chart が現れたときに、それらを区別するための不変量についても引き続き調べて行きたい。特に、Alexander module、quandle cocycle 不変量を引き続き研究したい。 またこの研究の2番目の目標であった、white vertex が6個の chart について調べていきたい。white vertex は次数が4の頂点をさす。こちらについても、未知の chart が発見されるかもしれないし、分類に必要な不変量の研究の例にもなるだろう。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、詳しく4つの crossing を含む 5-chart について調べて行きたい。推進方策でも述べたが、有効な不変量がないか調べる必要が生じる。そのために色々な研究集会に参加、発表等を行い、他の人の意見を聞いたり、最新の情報を手に入れたい。同署の計画通り、研究費の内、一部は研究集会での発表をするために使うことを予定しています。また、話だけでは詳しいことが分からないので必要な専門書などを購入しようと思います。 前年度は、海外の研究集会で発表する機会がなく、繰越のお金が少し残りました。 また、次年度は立体の図形を扱うのが便利になるように、3次元プリンターの購入を予定しています。
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