研究実績の概要 |
chart とは4次元空間内の曲面(曲面結び目と呼ばれる)を上手に平面上に表示する方法である。曲面結び目は図形が複雑なため、まだ画期的な分類表がない。chart を用いて曲面結び目の分類表を作成し、曲面結び目の研究をさらに活発にしていくことが研究の目的である。 chart は3種類の頂点があるグラフである。その内、white vertex と呼ばれている頂点がある。2-twist spun trefoil と呼ばれる曲面結び目を表す chart は丁度6個の white vertex が含まれることが知られている。今まで分類表作成のために、white vertex の数が4個、5個、7個である chart について調べていた。今回は次のような結果が得られた。「丁度6個の white vertex を含む CS-minimal chart は ribbon chart と '2-twist spun trefoil を表す chart' の積である」ここで、CS-minimal とは C-move, conjugation, stabilization とその逆の変形で white vertex の数が最小である chart のことであり、これらの変形は、chart に対応する曲面結び目の ambient isotopy class を変えない変形である。また、ribbon chart は C-move によって white vertex のない chart に変形出来る chart のことである。これらの結果から、white vertex の数が7個以下の chart について ribbon chart を無視すれば、分類が終わったことになる。また、画期的な結果は今まで使い方の分らなかった stabilization と呼ばれる変形の一般的な使い方が開発されたことである。
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