研究課題/領域番号 |
23540116
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
川久保 哲 福岡大学, 理学部, 助教 (80360303)
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キーワード | キルヒホッフ弾性棒 / 弾性曲線 / 変分問題 / 渦糸 / 局所誘導階層 |
研究概要 |
平成25年度は,Kirchhoff弾性棒の,可積分系の観点からの一般化であるソリトン曲線について研究を行った.特に,3次元Euclid空間内において,準周期的な第4ソリトン曲線の具体的な例を構成した.これは,Jacobiの楕円関数を用いて陽に表すことができる.また,この準周期的な第4ソリトン曲線を用いて,空間曲線版変形KdV方程式の準周期的な合同解(形を変えずに動く解)を構成することができた. 一般に,第nソリトン曲線の円柱座標の成分は,その曲率と捩率を用いて陽に表せる,ということが知られている.従って,もしも曲率と捩率を具体的に表すことができれば,円柱座標の成分自体も陽に表せることになる.第1~第3ソリトン曲線に関しては,実際にこのことが可能であることが知られていた.研究代表者は,ある仮定の下で,第4ソリトン曲線の曲率と捩率をJacobiの楕円関数によって表示し,これによって円柱座標の成分を陽に表すことができた.そして,この表示式を用いて周期条件を調べることにより,上記の結果を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究目的の一つとして,3次元空間形内において,第nソリトン曲線(nは4以上)の具体的な表示を求め,その幾何学的性質を調べる,ということがあった.今年度は,3次元Euclid空間において,ある準周期的な第4ソリトン曲線の具体的な表示式を求めることができた.今のところ,一般の空間形への拡張はできていないが,この結果により,目的の達成に向けておおむね順調に研究が進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は,3次元Euclid空間において,準周期的な第4ソリトン曲線の具体的な例を構成した.平成26年度は,第一に,上記の準周期的な第4ソリトン曲線のクラスの中に,周期的なものが存在することの証明を完成させる.次に,上記の3次元Euclid空間における結果を,平坦でない3次元空間形,即ち3次元定曲率球面及び3次元双曲空間内に何らかの意味で拡張する. これらの他に,昨年からやり残していた,3次元Euclid空間内の不安定な閉Kirchhoff弾性棒の構成に関する研究も進めていく予定である.
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