平成26年度は,主にソリトン曲線について研究を行った.ソリトン曲線とは,局所誘導階層の各発展方程式に付随する定常方程式の解のことであり,可積分系の観点からのキルヒホッフ弾性棒の一般化であるとも考えられる.昨年度は,3次元ユークリッド空間内において,準周期的な第4ソリトン曲線の族を構成した.これは,回転トーラスに巻きつくような曲線であり,円柱座標の成分をヤコビの楕円関数を用いて陽に表せることが分かっている.この準周期的な第4ソリトン曲線の族の中に,周期的なものが存在する,と予想をしていたが,今年度はこの予想が正しいことを示した.証明は,上記のヤコビの楕円関数による具体的表示式を用いて,周期性条件を解析することにより行う. さらに,ここで構成した周期的な第4ソリトン曲線を用いて,空間曲線版変形KdV方程式の周期的な合同解(形を変えずに動く解)を構成することができる. 上記のソリトン曲線の研究の他に,以前から継続中の,完備リーマン多様体内のキルヒホッフ弾性棒の方程式の初期値問題に関する研究のまとめを行った.具体的には,平成25年度に,任意の初期値に対して初期値問題の大域解が一意的に存在する,という事が証明できていたが,この結果を論文“Extendability of Kirchhoff elastic rods in complete Riemannian manifolds”としてまとめた.この論文は学術雑誌 Journal of Mathematical Physics に掲載された.
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