26年度最終年度は、国内の作用素環論ならびに記号力学系の研究者と交流を図り、共同論文を執筆し、9月と3月の日本数学会で研究成果を報告することができた。 まず松井宏樹氏(千葉大理教授)とは、マルコフシフトの軌道同型とCuntz-Krieger 環について、2編の共同論文 ”Continuous orbit equivalence of topological Markov shifts and Cuntz-Krieger algebras " を完成させ、連続軌道同型と周期点の関係について明確にした。この論文は、専門雑誌 Ergodic Theory Dynamical Systemsに掲載されることとなった。また軌道同型と位相充足群の関係についてもHigman-Thompson群と言われる従来知られていた可算無限非従順群のクラスを一般化しこれらの群の表現について共同研究した、その結果は論文"Full groups of Cuntz-Krieger algebras and Higman-Thompson group" にまとめられた。これらはそれぞれ、9月の広島大学での日本数学会、3月の明治大学での日本数学会で発表した。また、連続軌道同型とCuntz-Krieger 環のゲージ作用についての関係が分かりこれは単著で"Continuous orbit equivalence and torus actions on Cuntz-Krieger algebras" に纏めた。マルコフダイクシフトについては、W. Krieger (ドイツ、ハイデルベルグ大)との研究討論の末その分類に大きく迫ることができ、現在共同論文を執筆中である、その過程で、マルコフダイクシフトにはグラフの頂点から定義するやり方と辺から定義するやり方の2種類ありことが分かり、両者の違いについて明確にし頂点型のマルコフダイクシフトのゼータ関数の公式も証明したこれらは論文"On Markov Dyck shifts of Vertex type"に纏められ専門紙Discrete and Continuous Dynamical Systems に掲載されることなった。
|